“記録のつけ方”で変わる判断力|トレード日誌の型を見直そう

トレード日誌の目的を見失っていないか?

FXトレードにおいて、日誌をつけることは重要だと多くの人が理解しています。しかし、実際には「何のために記録しているのか」が曖昧なまま続けているケースも少なくありません。単なる“記録の義務”として習慣にしてしまうと、そこに「改善のための気づき」や「自分の傾向の把握」が生まれにくくなります。

日誌は“未来の自分が読むもの”です。

その視点に立つと、「振り返って活かせる情報」が何か、「客観的に見ても納得できる内容」になっているかが重要になってきます。

そしてその質を決めるのが、記録の“型”なのです。

トレード日誌に必要な「5つの要素」

よくあるトレード日誌には、以下のような要素が含まれているはずです。

  1. 日付・時間帯

     →どの時間帯でどのような取引を行ったか。時間による判断傾向も分析できます。

  2. 通貨ペアとエントリーポイント

     →取引対象とその位置を明記。エントリーロジックと合致していたかの検証にも使えます。

  3. チャートのスクリーンショット

     →言葉だけでは伝えきれない状況を、視覚的に保存。

  4. 根拠とシナリオ

     →なぜそのポイントで入ったのか。事前に想定していた動きは何か。

  5. 結果と感情の記録

     →勝ち負けだけでなく、実際の行動時にどんな気持ちだったかを残す。

この5点をしっかり記録するだけでも、情報としての価値は大きくなりますが、ここに“判断力を育てる”ための視点を追加することが、次のレベルへの鍵になります。

判断を「見える化」する記録の工夫

トレードとは「情報→判断→行動」の繰り返しです。

日誌ではこの一連の流れを分解し、「判断プロセスを見える化」することが極めて重要です。

判断の流れを追跡する

記録に「どの情報を見て」「どう考え」「なぜそう判断したか」という“経路”を入れることで、同じ失敗の再発を防ぎやすくなります。これは「判断の再現性」を高める土台となります。

勝敗ではなく「納得度」で評価する

トレードの良し悪しを“結果”だけで評価すると、運に左右された印象しか残りません。

「自分のルール通りにできたか」「その判断に納得できたか」で振り返る習慣を持つと、メンタルブレを防げる日誌になります。


このように、記録の“中身”に判断の流れを組み込むだけで、日誌が「記録のための作業」から「未来への資産」へと変わっていきます。

以降ではこの記録をどう習慣化し、日々のトレードに活かすのか。そして、具体的な記録テンプレートやフォーマットの違いによる影響まで踏み込んで解説していきます。

記録の習慣化と日誌を活かすコツ

日誌を継続する上で最大の壁は「面倒くささ」です。

しかし、情報を最適化すれば、記録作業は“面倒”から“楽しいルーチン”に変わります。

  • 時間を決めて書く:毎トレード後に書こうとせず、1日の終わりに一括で記録するなど、自分のスタイルに合ったタイミングを見つける。

  • テンプレートを使う:フォーマットを統一することで記録がラクになります。入力の手間も減り、比較しやすくなります。

  • 振り返りの時間を確保:週1で過去の記録を読み返す「反省ミーティング」のような時間を設けることで、自己分析が定着します。

習慣化の鍵は、「手を動かすことそのものが気づきを生む」と実感すること。最初は“義務感”でも構いません。続けることで効果が見えてくれば、それは“武器”へと変わっていきます。

トレード記録のテンプレート例と活用法

実際の記録例として、以下のようなテンプレートが活用されています。

項目 内容
日付/時間帯 6月7日/東京時間 午前
通貨ペア/方向 USD/JPY/ロング
エントリー価格 155.20
損切り/利確ライン SL: 154.80/TP: 156.00
ロット数 0.5 lot
トレードの根拠 押し目買い+15分足でダブルボトム確認
想定シナリオ 一時的な調整後に、前回高値まで再上昇すると予想
結果 TP到達+80pips/+4,000円
実際の流れと感情 エントリー直後はやや含み損→反発で安心→利確まで待てた
改善点 押し目形成をもう少し引き付けるべきだった(早入り傾向)
自己評価 ルール順守◎、感情コントロール○、タイミング△

このように、事前計画・実行・評価を一連で可視化すると、判断と感情の癖がはっきりと浮かび上がります。

また、テンプレートは紙媒体でもExcelでもOKですが、利便性や検索性を考えるとNotionやGoogleスプレッドシートなどのクラウドツールも非常に便利です。

フォーマットで変わる「気づきの質」

手書き派:記憶定着や感情表現に強み。深い内省に向く

デジタル派:検索性・データ管理に強み。傾向分析に向く

どちらを選ぶにせよ、「自分の弱点に気づけること」を最重視してください。

まとめ

トレード日誌は、ただ記録するためのものではなく、自分の思考と感情のパターンを炙り出す“鏡”です。

良いトレードとは「勝ったトレード」ではなく、「再現性のある判断ができたトレード」。

その“再現性”を支えるのが、日々の記録とレビューです。

判断力は、鍛えられる力です。

そしてそのトレーニングの場として、トレード日誌ほど優れた教材はありません。

次の記事では、より実践的なレビュー術として、「記録を“評価に変える”方法」「自己レビューと他者レビューの違い」「レビューを通じて何を伸ばすか」に焦点を当てて解説します。

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