自己破産しても借金が消えない?免責不許可となる7つの理由

自己破産とは「借金をゼロにできる制度」…ではない?

自己破産は「借金をすべて免除してもらえる最後の手段」として知られています。しかし、実際には破産申立てを行っただけで借金が帳消しになるわけではありません。裁判所の「免責許可決定」があって初めて、借金の支払い義務がなくなるのです。

つまり、破産手続には「破産手続開始決定」と「免責許可決定」という2段階があるということです。前者が財産の清算を目的とするのに対し、後者は借金を帳消しにする効力を持ちます。もし免責が認められなければ、自己破産をしても借金の返済義務は残ったままです。

このように「免責」が認められることは非常に重要です。では、どういったケースで免責が「認められない」=「不許可」になるのでしょうか? 今回はその代表的な原因と、免責の仕組みを深掘りしていきます。


「免責不許可事由」とは?法律上定められた7つの落とし穴

自己破産では、裁判所が免責を認めるかどうかを判断する際に「免責不許可事由」の有無がチェックされます。これは破産法252条に明記されており、該当すると原則として免責が許可されないことになります。

主な免責不許可事由は以下のとおりです:

  1. 浪費やギャンブルによる過大な借金

  2. 財産を隠す、または特定の債権者にだけ返済する行為

  3. 帳簿や資料の隠蔽、改ざん

  4. 裁判所への虚偽申告

  5. 過去7年以内の自己破産歴

  6. 債権者の調査妨害行為

  7. その他、不誠実な態度とされる行為

たとえば海外FXでの多額の損失が「投機的すぎる」と判断されると、ギャンブル扱いされて免責が認められない可能性もあります。


それでも免責されるケースがある?裁量免責制度とは

ただし、免責不許可事由があるからといって、必ず免責が却下されるわけではありません。日本の破産法では、「裁量免責制度」が用意されています。これは、一定の反省や再起の意思が見られる場合に、裁判所の裁量で免責を認める仕組みです。

たとえば、ギャンブルでの借金が原因でも、本人が深く反省しており、今後の生活に誠実さが見られると判断されれば免責が下りることもあります。また、破産管財人による調査が円滑に進み、財産隠しがなかったと認められた場合なども考慮対象です。

以降では実際に免責不許可と判断された事例、または裁量免責が適用されたケースを具体的に紹介しながら、「再起のチャンスをどう確保するか」という視点で解説を続けます。


免責が不許可となった実例と判断の背景

免責不許可事由に該当したからといって、すべてのケースで免責が拒絶されるわけではありません。しかし、明らかに悪質な行為や、反省の態度が見られないケースでは、裁判所は厳しく判断します。

たとえば、海外FX取引で大きな損失を出した後、それを隠すような形で資金を別口座に移していたケースでは、「財産隠し」と判断され免責が不許可となりました。また、過去にも破産歴があり、しかも債権者調査に協力的でなかった場合、再度の免責は厳しく制限されます。

一方で、ギャンブル依存が原因であっても、破産手続中に通院や家計の改善努力が見られたことで「裁量免責」が認められた事例もあります。こうした判断は、破産者の再起の意思や行動に大きく左右されるのです。


海外FXが原因でも免責される?注意すべきポイントと対策

海外FX取引は、破産法上「投機的行為」に分類される可能性があります。損失が短期間に集中していたり、明らかに過剰なレバレッジをかけていたりすると、ギャンブルと同様の扱いを受ける恐れがあります。

そのため、破産手続の中では以下の点に注意する必要があります:

  • 取引履歴を詳細に開示する

  • 自身の収入・資産に見合った範囲内での取引だったことを説明できるようにする

  • 今後は同様の行為を行わないと誓約する意思を示す

  • 債権者や破産管財人の調査に誠実に応じる

こうした姿勢が裁量免責の判断において大きなポイントとなります。すべての海外FX利用者が免責不許可になるわけではないため、誠実な対応が重要です。


まとめ

自己破産の最終的な目標は「免責許可」を得て、借金から解放されることにあります。しかし、免責が認められるには法律上の要件を満たし、かつ破産者自身の姿勢や誠実さが問われます。

特に海外FXなどリスクの高い投資行為が原因の場合は、その経緯や対応姿勢次第で結果が大きく分かれます。破産を決断した後こそ、どう向き合うかが大切です。免責不許可となれば借金は残りますが、裁量免責制度を活用すれば救済の可能性は残されています。

「もう終わりだ」とあきらめず、誠実に対応を重ねていくことが、再起への第一歩となるでしょう。


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