ChatGPTと作る!ゼロからの自動売買戦略フレーム

EA開発の最初の壁:戦略の“型”がない問題

多くの個人トレーダーがEA(Expert Advisor)を作ろうとしたとき、最初につまずくのが「どんなロジックにすべきか決まらない」という問題です。インジケーターの知識はあっても、エントリーやエグジットの条件をどのように構築するかが曖昧なまま、ChatGPTに「EAコードを作って」と依頼しても、抽象的すぎて機能しないコードが返ってくるのがオチです。

本記事では、ChatGPTを“戦略設計のパートナー”として活用し、EA開発における「戦略フレーム=型」をゼロから構築する方法を解説します。後編では、このフレームをもとに実際のコード構築・評価プロセスに接続します。

ChatGPTに求めるべき“戦略パターン生成”の役割とは

EA戦略においては、「どんなときに買い(または売り)たくなるか?」という“直感”をロジックに落とし込む必要があります。ChatGPTは自然言語ベースで発想を拡張するのに非常に向いています。

例えば、以下のようなプロンプトを用いて発想を展開できます:

  • 「短期的な逆張りスキャル戦略の代表的なエントリーパターンを5つ教えて」
  • 「トレンドフォロー型のEAでよく使われる時間帯制限のルール例を出して」
  • 「勝率より利益率重視の戦略にはどんな特徴がある?」

これにより、「ありそうだけど自分では思いつかなかった型」や「過去に試したが忘れていた構造」を思い出させることができます。ここではまだコード生成は行わず、あくまで“型の収集と比較”をChatGPTに担わせることが重要です。

“型”をカスタマイズするための4ステップアプローチ

戦略を型からフレーム化するには、以下のようなステップでChatGPTとの対話を進めると効果的です:

ステップ1:戦略のジャンルを選ぶ

「順張り」「逆張り」「ブレイクアウト」「時間帯限定」などの大枠をChatGPTに明示します。

ステップ2:仮説を与えてパターンを出力させる

「NY時間にドル円が動きやすい傾向を活かしたい」といった仮説を示し、その条件下で有効なロジック例を尋ねます。

ステップ3:エントリー条件と決済条件を分離して検討

「エントリーはRSI逆張り、決済はATRの倍率で固定」など、構成要素ごとにChatGPTに別々の提案を求めると、汎用性が高くなります。

ステップ4:失敗条件や“効きにくい相場”も想定させる

「この戦略はどんな相場で負けやすいか?」と尋ねることで、バイアスの検出や最適化の際の指針になります。

このように、ChatGPTは単なるコード生成AIではなく、“戦略の骨格を洗い出し、比較検討するツール”として活用するべきです。


実装フェーズ:戦略フレームをChatGPTにMQL化させる手順

前編で構築した「戦略の型」は、いよいよEAコードへと落とし込むフェーズに入ります。ここでは、ChatGPTを用いてMQLコード(MT4またはMT5用のEA言語)に変換する手順を詳しく解説します。

まず重要なのは、「コードを書いて」ではなく「こういう戦略を作りたい」と具体的に伝えることです。たとえば:

  • 「RSIが30を下回ったら買い、50を超えたら決済するロジックを書いてください」
  • 「週の特定曜日だけエントリーを許可するフィルターを追加して」

このように、明示的な条件と出力形式を指定すると、ChatGPTはより精度の高いコードを返してくれます。

また、複雑な処理(例:複数ポジション管理、トレーリングストップ)を追加する場合は、段階的に依頼を分けるのがコツです。

コード生成後の“実行チェックポイント”とデバッグの進め方

ChatGPTから出力されたコードは、そのままでは正常に動作しない場合もあります。そのため、以下の点をチェックするのが基本です:

  • MT4/MT5のエディタでコンパイルしてエラーがないか確認する
  • バックテストで注文発注や決済が正しく行われているかチェック
  • 想定と異なる動きがあれば、原因を特定しChatGPTに聞き直す

ChatGPTとのやりとりを通じて、「特定の条件でロジックが反応しない」「パラメータが効いていない」などの問題があれば、それを自然言語でフィードバックすることで、修正提案ももらえます。

また、重要なのが“変数の意味”を自分で理解することです。ChatGPTは説明もできるので、わからない変数名や関数名はその都度尋ねることを習慣にすると、EA開発の知識も自然と深まっていきます。

まとめ

この記事では、ChatGPTを活用してEA戦略の“フレーム”を構築し、それをMQLで実装・改善していく流れを紹介しました。

ポイントは、以下の4点です:

  • EAの設計は「型」から始めるとブレずに進む
  • ChatGPTは戦略のパターン提案に非常に強い
  • コード化する際は条件を明示し、ステップごとに依頼する
  • 出力されたコードは必ず自分で検証・理解しながら改善する

これらを意識することで、ChatGPTを単なる「コーディング代行者」ではなく、自分の戦略を形にする“共創パートナー”として活用できるはずです。


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