仕組まれた“利益”と出金できない現実
システム導入から1週間、私の口座残高は順調に増えていました。講師の指示通りにトレードされているように見え、「これは本物かも」と安心してしまったのです。ところが、「一部利益を出金したい」と申し出ると、サポートから返ってきたのは「本人確認のための追加費用が必要です」との返答。さらには「手数料が高いので、もう少し利益が増えてからの出金をおすすめします」との助言。
ここで違和感を覚えながらも、「自分が信じた人を疑いたくない」という心理が働き、結局何も言えずにいました。
よくある“出金できない”パターンの実態
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出金に高額な「確認料」や「税金」が必要とされる
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出金申請のたびに“条件”が変更される
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サポート窓口の対応が曖昧で時間を引き延ばす
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取引履歴のスクショはリアルに見えるが、偽装されたもの
このような手口は「出金拒否型詐欺」と呼ばれ、被害者が気づく頃には講師もLINEも消えていることが多いのです。
なぜ抜け出せなかったのか?心理の罠と孤立
私が特に辛かったのは、「誰にも相談できなかった」ことです。「副業で失敗したなんて恥ずかしくて言えない」「自分がバカだっただけ」と自責する日々。こうして孤立していくと、詐欺の構造に気づいても「今さら騒いでも意味がない」と思ってしまい、被害が拡大していくのです。
詐欺が成立する心理的トリック
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コミュニティで「仲間意識」を持たせる(LINEグループ)
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段階的に金額を上げる(サンクコスト効果)
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「今さらやめられない」と思わせる
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成功体験を強調して「他人より劣っている」と錯覚させる
冷静になって振り返ると、すべてが“仕組まれていた”とわかりますが、渦中では見えませんでした。
再起のきっかけは“情報共有”と行政窓口だった
心が折れそうだったとき、たまたまネットで見つけた被害者掲示板で、自分とそっくりな体験談を発見。「あ、自分だけじゃなかったんだ」と思えた瞬間、気持ちが少し楽になりました。そこから国民生活センターや警察の相談窓口にも連絡し、アドバイスを受けながら、少しずつ冷静さを取り戻していきました。
金銭は戻ってきませんでしたが、「もう騙されない」と思えるようになったことが、私にとっての再スタートでした。
まとめ
SNSを使った副業詐欺は、巧妙に心理を操り、「信じたくなる構造」で近づいてきます。フォロワー数やLINEグループ、ライブ配信の雰囲気に安心せず、常に「一歩引いて見る目」を持つことが大切です。もし被害にあってしまったら、一人で抱え込まず、まずは誰かに話してみてください。それが回復への第一歩になります。
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