SNSで信じた“講師”の正体|手口と心理を暴く副業詐欺

フォロワー数=信用?SNSで出会った“先生”

副業ブームが盛り上がる中、SNSを通じて“稼げる情報”を求める人が増えています。私もその一人でした。Instagramで投資情報を発信していた「M先生」は、プロフィール写真も爽やかで、フォロワー数はなんと4万人超。投稿は連日更新され、内容も「初心者向けにやさしく解説」「質問はDMでどうぞ」と親切な印象。

ある日、「海外FXの自動売買システムを始めたら、月10万円の不労所得に成功しました!」という投稿を目にし、興味本位でDMを送ったのが、全ての始まりでした。

当時の私は、正直「楽して稼げるならやってみたい」と思っていたし、「SNSでたくさんの人が信じているなら安心」と勘違いしていました。

なぜ信じたのか?人はSNSで“錯覚”する

  • フォロワー数の多さ=信頼できる情報源だと思い込む

  • 他のコメント(成功体験や感謝の声)がサクラと気づかない

  • DMでのやりとりが丁寧だと、人柄まで信用してしまう

  • 写真や投稿スタイルが“リアル”で、詐欺に見えない

今思えば、まさに「SNS型副業詐欺」の典型的な心理状態でした。

最初の“入口”は無料セミナーとLINE登録

「ご興味ありがとうございます。初心者の方でも安心して始められるよう、無料セミナー動画をお送りしますね」

そう言って送られてきたLINE登録用のURLから、私は“専用の情報共有グループ”に入りました。ここでは「FX講師のライブ配信」や「毎朝の相場予想」が投稿され、参加者たちが「今日もプラス5万円!」「○○先生すごい!」と盛り上がっている様子が見られました。

すぐに「この人たちは実際に稼げているんだ」と思い込んでしまいました。

本当にあったLINEグループでの“演出”

  • 朝の挨拶や投稿がテンプレートのように同時に送られてくる

  • 新規参加者が続々と入ってきて「活気がある」と錯覚させる

  • “実績報告”が全員似たような金額・スクショ形式

  • セミナー講師が“超フランク”で親しみやすい

このように、LINEやSNSを通じて“仲間が多い”という印象を与えるのが常套手段。孤独な副業希望者ほど、こうした演出に飲まれやすいのです。

初期費用は“数万円”からのスタート

「とりあえずリスクが低いところから始めましょう」「システム使用料が月額2万円。口座に20万円だけ入れてください」

このように、“安く始められる”という印象を強調され、私は少ない貯金の中から費用を捻出しました。口座は海外FX業者で開設。先生の指定したURLから登録したことで、すでに“アフィリエイト経由”になっていたのです。

この時点では、「少額なら大丈夫」と思っており、実際に最初の1週間で“数万円の利益”が出たように見えるレポートを受け取りました。

——後編では、この“利益”の正体と、出金トラブルの実態、詐欺の構造、そして心理的に抜け出せなかった理由と再起のきっかけを詳しく解説していきます。

仕組まれた“利益”と出金できない現実

システム導入から1週間、私の口座残高は順調に増えていました。講師の指示通りにトレードされているように見え、「これは本物かも」と安心してしまったのです。ところが、「一部利益を出金したい」と申し出ると、サポートから返ってきたのは「本人確認のための追加費用が必要です」との返答。さらには「手数料が高いので、もう少し利益が増えてからの出金をおすすめします」との助言。

ここで違和感を覚えながらも、「自分が信じた人を疑いたくない」という心理が働き、結局何も言えずにいました。

よくある“出金できない”パターンの実態

  • 出金に高額な「確認料」や「税金」が必要とされる

  • 出金申請のたびに“条件”が変更される

  • サポート窓口の対応が曖昧で時間を引き延ばす

  • 取引履歴のスクショはリアルに見えるが、偽装されたもの

このような手口は「出金拒否型詐欺」と呼ばれ、被害者が気づく頃には講師もLINEも消えていることが多いのです。

なぜ抜け出せなかったのか?心理の罠と孤立

私が特に辛かったのは、「誰にも相談できなかった」ことです。「副業で失敗したなんて恥ずかしくて言えない」「自分がバカだっただけ」と自責する日々。こうして孤立していくと、詐欺の構造に気づいても「今さら騒いでも意味がない」と思ってしまい、被害が拡大していくのです。

詐欺が成立する心理的トリック

  • コミュニティで「仲間意識」を持たせる(LINEグループ)

  • 段階的に金額を上げる(サンクコスト効果)

  • 「今さらやめられない」と思わせる

  • 成功体験を強調して「他人より劣っている」と錯覚させる

冷静になって振り返ると、すべてが“仕組まれていた”とわかりますが、渦中では見えませんでした。

再起のきっかけは“情報共有”と行政窓口だった

心が折れそうだったとき、たまたまネットで見つけた被害者掲示板で、自分とそっくりな体験談を発見。「あ、自分だけじゃなかったんだ」と思えた瞬間、気持ちが少し楽になりました。そこから国民生活センターや警察の相談窓口にも連絡し、アドバイスを受けながら、少しずつ冷静さを取り戻していきました。

金銭は戻ってきませんでしたが、「もう騙されない」と思えるようになったことが、私にとっての再スタートでした。

まとめ

SNSを使った副業詐欺は、巧妙に心理を操り、「信じたくなる構造」で近づいてきます。フォロワー数やLINEグループ、ライブ配信の雰囲気に安心せず、常に「一歩引いて見る目」を持つことが大切です。もし被害にあってしまったら、一人で抱え込まず、まずは誰かに話してみてください。それが回復への第一歩になります。


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