ギャンブル性の判断と免責不許可事由の関係
海外FXによって生じた借金が破産申立てにおいて免責されるかどうかを考える上で、注目されるのが「ギャンブル性の有無」と「免責不許可事由」との関係です。破産法第252条1項4号には、浪費や賭博、射幸行為による著しい債務の増加がある場合、免責が認められない可能性があるとされています。
この「射幸行為」がまさにギャンブル的な行為を指し、海外FX取引がこれに該当すると判断されれば、免責が認められないこともあります。ただし、この条文には「裁量免責」という例外も存在し、たとえ該当する事実があっても、事情次第で免責が許可されることもあります。
そのため、ギャンブル的な要素が強くても、一律に免責されないわけではありません。取引に至った経緯、反省の有無、生活状況、回復への努力などを丁寧に主張・立証することが重要です。
精神的依存と破産法の「誠実性」要件
破産申立てにおいて、裁判所が重視するのは「誠実性」です。これは単に法律を守っているかどうかではなく、「借金に至った背景」「その後の対応」「現時点での姿勢」を含む広い意味での誠実性です。
たとえば、海外FXで失敗したことを隠す、証拠を偽る、原因を他人のせいにするような態度は、裁判所の心証を悪くし、免責を否定される可能性を高めます。一方で、自らの過ちを認め、記録を整え、今後の改善努力を示すことができれば、たとえ過去に射幸的な取引があったとしても、裁量免責が認められる余地があります。
精神的な依存状態だったとしても、それを反省し、再発防止に努めていることを示せれば、「単なる浪費者」とは異なる評価を得ることが可能です。
専門家のサポートが不可欠な理由
海外FX取引の内容が破産においてどのように評価されるかは、非常に専門的かつ個別具体的な判断が必要とされます。裁判所における主張立証のポイント、必要な証拠資料、過去の判例との違いなどを適切に整理するには、弁護士や司法書士のサポートが不可欠です。
とくに、自己破産を希望しているものの、ギャンブル性が問題視されるリスクがある場合、事前の段階で適切な説明や証拠の整備を行っておくことで、免責の可能性を大きく左右します。後手に回って釈明するより、先回りして説明責任を果たす姿勢こそが、「誠実性」の証明になるのです。
まとめ
海外FXで生じた債務がギャンブル的だとみなされた場合、破産申立てにおいて免責が認められないリスクがあるのは事実です。しかし、その判断は一律ではなく、「継続性」「反復性」「金額」「依存の程度」「誠実な対応」など、多角的に判断されます。
依存傾向が疑われる場合でも、きちんと反省し、記録を整理し、再発防止策を立てた上で申し立てを行えば、裁量免責が認められるケースもあります。ギャンブル的取引だったという理由だけで諦めず、信頼できる専門家と連携し、丁寧に対応していくことが何より重要です。
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