仮想通貨→円に換えた時点で課税対象に
前編で触れたように、仮想通貨で海外FXの収益を受け取った場合、その段階では「所得」として認識されにくいと考える人がいます。しかし、日本の税法上では、その仮想通貨を「日本円や他の通貨に換金した時点」「他のサービスや商品に利用した時点」で、雑所得などとして課税対象になります。
たとえば、10万円相当の仮想通貨を受け取った場合、これを翌月に15万円相当で売却すれば、5万円分の仮想通貨による「売却益」と、10万円の「FX収益」に分かれて計上される形です。つまり、二重に計算する必要があり、税務処理はむしろ煩雑になる傾向があります。
また、仮想通貨でのやりとりを税務署が確認するには時間差があるとはいえ、後から帳尻を合わせられるリスクは常に存在します。
税務調査での仮想通貨の扱いと追徴課税リスク
仮想通貨による受け取りを「バレない」と軽視した結果、税務調査で問題になるケースは増えています。特に以下のような状況は、追徴課税やペナルティの対象となる可能性が高まります。
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国内の仮想通貨取引所に送金後、法定通貨に換金した履歴がある
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海外取引所からの入金額と生活費・資産状況が一致しない
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所得に対して異常に低い申告額であった
国税庁はAI分析や金融機関との情報照合を活用しており、調査の精度は年々向上しています。つまり、仮に過去に「バレなかった」としても、それが今後も続く保証はありません。
仮想通貨受け取りのメリットと実務的な注意点
では仮想通貨受け取りにメリットがないのかというと、実は「資産の分散」「送金スピード」「一部のプライバシー保護」などの観点では実務的な利便性があります。ただし、これらのメリットを活かすには以下のような点に注意が必要です。
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仮想通貨の送受信履歴は自分でもきちんと管理・記録しておくこと
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海外FX業者からの収益であることを帳簿に残しておくこと
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換金時のレートと差益を明確に分けて計上すること
このように、節税目的ではなく、正当な手段として仮想通貨を活用するならば、むしろ税務上の信頼性を高める行動が求められます。
まとめ
「仮想通貨で受け取ればバレない」といった甘い見通しは、すでに通用しない時代に入っています。むしろ仮想通貨を通じて得た収益は、その性質上、税務当局からの注視を受けやすい存在になりつつあります。重要なのは、仮想通貨を活用するならば、あくまで合法的かつ透明な手続きを取ることです。
節税のつもりで始めた仮想通貨受け取りが、後から大きなリスクになる前に、自分の資金フローを見直しておきましょう。
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