なぜ海外FXで“警察沙汰”になるのか?
「海外FXでトラブル」と聞くと、多くの人は「出金できない」「スプレッドが広がった」などのトラブルを思い浮かべるかもしれません。ですが、中には金融庁だけでなく警察や弁護士が関与するレベルの事件に発展するケースも存在します。
背景には、海外FX業者が日本の金融当局に無登録で営業していること、規制の網をかいくぐるスキームが横行していることなどがあります。また、SNSや知人からの紹介で軽い気持ちで参加し、詐欺的なスキームに巻き込まれる例も後を絶ちません。
本記事では、そうした“警察沙汰”に至った実例を複数紹介し、なぜ起きたのか、どのように対処すべきだったのかを検討します。
事例①:高額保証型の“代理運用”スキームで被害
「自動売買で月利10%、元本保証」と言われて…
Aさんは知人を通じて「信頼できる海外FX業者の自動売買に乗せれば、月利10%で運用できる。しかも元本保証つき」と勧められました。契約書は簡易的なPDF1枚。業者のサイトは日本語で、実績の画像や口コミも掲載されており、特に疑問を持つことなく100万円を送金しました。
ところが数カ月後、運用結果の報告が止まり、連絡も取れなくなりました。慌てて警察に相談するも「個人間トラブルの可能性もある」とされ、民事不介入で取り扱ってもらえませんでした。
Aさんが弁護士を通じて調査した結果、紹介者の背後にある“海外FX業者”は法人登記すらされていない存在で、被害届を出してようやく警察が捜査を開始。最終的に、紹介者が詐欺容疑で書類送検されました。
この事例から学べること
事例②:SNS勧誘でマルチ型詐欺に巻き込まれたBさん
BさんはSNSで知り合った人物から、「仲間と一緒に稼げる海外FXグループがある」と誘われました。少額の入金と簡単なスマホ操作で利益が出るという説明に惹かれ、参加費用として5万円を支払いました。
実際には、“海外FX取引を学べるオンラインサロン”という名目で、グループへの参加費を集めるピラミッド型のマルチ商法。最初は小額の利益を得られるように見せかけ、追加資金や勧誘による報酬制度で参加者を広げる構図でした。
参加者同士のトラブルが相次ぎ、返金を求める声がSNSで拡大。最終的に、数十人規模の被害者が集まり、警察が詐欺および特定商取引法違反の容疑でグループ運営者を逮捕しました。
ポイント
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SNSを介した“グループ型FX”はマルチ商法の温床になりやすい
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少額でも「参加費」や「紹介料」が発生する仕組みは要注意
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利益の源泉がFX取引ではなく“勧誘”である場合は違法性が高い
以降ではさらに「海外FX業者との直接トラブル」や「刑事告訴に発展した事例」などを深掘りし、被害に遭わないための対策や相談先についても詳しく解説していきます。
事例③:口座凍結からの“逆提訴”リスクに発展
Cさんは海外FX業者の利用中に、急な口座凍結に遭いました。「不正な取引履歴が検知されたため」との通知がありましたが、心当たりはなく、メール問い合わせにも返信がありません。最終的に法的措置を取ると宣言したところ、逆に業者側が「契約違反による損害賠償請求」を持ち出してきました。
国外業者に提訴されるリスクも
実際には裁判に至りませんでしたが、このような事例では、海外FX業者の“提訴の構え”がユーザー側の動きを止める抑止効果として使われることがあります。特に高額出金時などには、手数料名目の支払いや条件変更を迫られるケースも多く見られます。
このような場合、焦って支払いや和解に応じるのではなく、まずは法的な助言を受けることが重要です。相手が正規の登録業者か、訴訟実態があるかなどの調査がポイントとなります。
事例④:紹介報酬トラブルで民事から刑事へ
Dさんは“紹介報酬型”の海外FXプロジェクトに参加し、知人に紹介した結果、数十人を巻き込むことになりました。当初は報酬も入金されていたものの、突然支払いが停止。参加者からの返金要求がDさんに集中し、最終的には詐欺容疑で告訴される事態に。
紹介者も法的責任を負う可能性
「自分も被害者なのに」と訴えるDさんでしたが、警察は「加害者としての役割があった可能性」を重視し、捜査を開始。こうした構造では、知らずに“詐欺の加担者”になってしまうリスクがあるため、勧誘や紹介時には仕組みの確認と記録保存が必須です。
紹介報酬を得た証拠、業者とのやり取りのログ、契約文書の保存がトラブル時の明暗を分けます。
まとめ
海外FXで発生する“警察沙汰”レベルのトラブルは、以下のような傾向があります:
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「元本保証」「必ず稼げる」など現実的でない文言に要注意
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紹介型・代理運用型・グループ参加型などで構造が複雑化する傾向
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警察に相談する際には、証拠や文書を整備しておくことがカギ
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被害者から加害者にならないよう、紹介・勧誘の責任範囲を理解することが重要
トラブル防止のためには、最初に「どのような業者と取引しているのか」を徹底的に調査し、紹介者や勧誘者の言葉だけで判断しない冷静さが求められます。万一の際は、弁護士や専門機関への相談をためらわないようにしましょう。
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