実際に“信託保全あり”業者が破綻したとき、何が起きたか
筆者が利用していたB社は、数年間にわたり安定した運用をしていたものの、突如として出金遅延が発生し、その後すぐにサイトがメンテナンス状態に入りました。数日後には完全にアクセス不能に。
問題はその後でした。メールで送られてきた通知には「信託保全口座に資金は確保されている」と書かれていましたが、いくら待っても返金の気配はありません。サポート窓口に問い合わせてもテンプレ回答のみ。調査を進めるうちに分かったのは、以下のような衝撃的な事実でした。
-
実際には顧客資金と運転資金の混同が行われていた
-
「信託口座」が実在しない、または第三者管理されていない
-
海外法人のため、日本の法律では泣き寝入りしか選択肢がない
このように、表向きは「信託保全あり」とされていても、実態はほとんど形だけの仕組みにすぎなかったのです。
破綻後の顧客資金返還のプロセスと現実
返還プロセスとして案内されたのは、B社が提携していた弁護士事務所への請求書提出でした。しかしその請求書には、「保全資金が不十分な場合、返還率が減額される可能性がある」との注意書きがありました。
実際に返金されたのは、元本のわずか約7%。さらに、それまでの手続きにかかった書類郵送代や翻訳費、認証費用などで赤字になったというケースもあります。
信託保全とは名ばかりで、実際には以下のようなリスクが潜んでいます:
-
名義が業者側の場合、勝手に動かせる
-
信託契約が明文化されていない
-
「保全金の上限」や「補償条件」が存在し、万能ではない
まとめ
海外FXにおいて「信託保全あり」という言葉は、それだけで安心材料にはなりません。
大切なのは、その内容の精査と、実際に保全が発動されたときの実績や対応事例の確認です。
日本の金融商品取引法に守られているわけではない以上、「何かあったら全部自己責任」という覚悟を持って挑む必要があります。
信託保全という表現に安心せず、冷静に業者選定を行うことが、資金を守る最大の防衛策になるでしょう。
コメント