裁判例から見た紹介者の責任認定の現実
実際に「海外FXで損をした」として、知人紹介者に対して賠償請求が起こされたケースは少数ですが、いくつかの判例が参考になります。
たとえば、2019年のある地裁判決では、IBとして勧誘していた紹介者が「誇大広告に近い発言をしていた」と認定され、過失責任が認められました。紹介者が自らの報酬を得る目的で、相手に誤認を与えるような発言を繰り返していた点が重視されました。
一方で、「単なる善意の紹介」にとどまる場合、つまり「自分もやっている」「一緒に頑張ろう」などの曖昧な誘いでは、損害との因果関係が不明確であるとして、責任が否定される例が大半です。裁判では「勧誘の内容」「業者との関係」「経済的利益の有無」などが綿密に検討されます。
つまり、損害賠償が認められるハードルは高いものの、明確な嘘や報酬目的の積極的勧誘があれば、責任を問える余地もあるということです。
被害回復と対策:紹介者への対応をどう考えるべきか?
感情的な対立を避け、記録と証拠の確保を優先
紹介者が知人であればあるほど、「怒り」「裏切られた気持ち」など感情的に強く反応してしまいがちです。しかし、法的対応を考えるのであれば、感情的なやりとりよりも、以下のような記録・証拠の確保が重要です。
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勧誘時のチャットやLINEのスクリーンショット
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投資前後のやりとりの内容(業者の紹介URLや説明文など)
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紹介者が業者から報酬を得ていた証拠(公開プロフィール、IBリンクの存在など)
こうした資料を整理し、消費者センターや弁護士への相談を早めに行うことが、事態の整理に役立ちます。
示談や内容証明による交渉も選択肢に
必ずしも裁判に至らなくても、内容証明郵便で「返金交渉」を行うケースもあります。この段階で謝罪や一部返金が得られる場合もあり、相手との関係性によっては柔軟な対応が可能です。
ただし、逆に「脅迫された」「名誉毀損だ」などと反撃されるリスクもあるため、法的根拠を理解したうえで冷静な対応が求められます。
まとめ
知人による海外FXの紹介で損害を被った場合、紹介者への賠償請求は可能ではありますが、法律的には多くの要件を満たす必要があり、簡単ではありません。特に紹介者の意図、発言内容、報酬の有無が重視されます。
もし似たような状況にある場合は、感情的な対立を避けつつ、記録と証拠を丁寧に蓄積し、弁護士や専門機関への相談を通じて対応を検討するのが現実的な第一歩です。
今後の記事では、こうした「紹介者の責任」だけでなく、「自分自身の判断ミスだったのか?」という視点も踏まえて、さらに踏み込んだトラブル対策を紹介していきます。

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