“講師と直接LINE相談できる”が落とし穴だった|FX塾で起きた勧誘トラブル

SNS広告で目にする「初心者向けFX塾」とは?

「未経験から月収30万円」「講師とマンツーマン指導」「LINEで気軽に相談できる」――このようなキャッチコピーでSNS上に登場する“FXスクール”の広告。副業ブームに乗って興味を持つ人も多いですが、その中には**悪質な“勧誘型詐欺”**が含まれていることをご存じでしょうか?

こうしたスクールは、「初心者でもわかりやすい」「サポートが手厚い」といった安心感を演出しつつ、LINEを通じて個別連絡に持ち込みます。その目的は、表面上の「指導」ではなく、実は高額なツール販売や無登録ブローカーへの入金勧誘なのです。

この前編では、筆者が実際に体験した「マンツーマン相談型FXスクール」の実態を紹介しながら、どうしてそれが問題だったのか、背景と初期段階の流れを詳しく解説します。

LINE相談から始まる“信頼演出”の巧妙さ

筆者はSNS広告をきっかけに「FXスクール」に興味を持ち、LINE登録を行いました。するとすぐに“講師”を名乗る人物から連絡があり、初回はビデオ通話で簡単な自己紹介と投資方針のヒアリングが行われました。

一見すると親身で誠実な対応であり、「この人なら信頼できそう」と思わせる話し方と態度。しかし、話が進むにつれ、徐々に以下のような誘導が始まりました:

  • **「みんな結果を出してますよ」**と他受講者の“成功体験”を紹介

  • **「今がチャンスです」**と期間限定のツール提供を提案

  • **「このブローカーは講師も使ってます」**と無登録業者の紹介

つまり、LINE相談は**“講師と生徒”という関係を装った営業トークの場**だったのです。

無登録ブローカーや有料ツールへの巧妙な誘導

筆者が勧誘された内容には、以下のような典型的なトラブル要素が含まれていました:

  1. 無登録の海外FX業者を指定し、そこへの入金を指示

  2. トレードは自動売買ツールで任せればOKと説明

  3. ツールは講師が開発したもので、30万円相当と強調

  4. クレジットカード決済や仮想通貨による支払いを推奨

このような誘導は、「初心者でわからないからこそ任せてしまう」心理を巧みに突いたもの。しかも、“講師との信頼関係”ができた状態で提示されるため、警戒心を持たせないのが最大の問題点です。

以降では実際に起きた金銭的被害や返金トラブル、周囲の人の反応、そして筆者がどう対処したのかを詳しく解説します。


被害に気づいたのは「出金トラブル」からだった

LINEでのやりとりを重ねた結果、筆者は講師の指示通りに海外ブローカーへ入金し、指定された自動売買ツールを使い始めました。当初は「日利1%」という運用成績が提示され、確かに口座残高は少しずつ増えていくように見えました。しかし、ある日突然、出金申請が却下される事態が発生します。

サポートに連絡しても「現在はシステムメンテナンス中」や「本人確認が未完了」といった回答ばかり。そのうち、講師との連絡も取りにくくなり、最終的にはLINEもブロックされてしまいました。

さらに調べてみると、そのブローカーは日本の金融庁には登録されておらず、ネット上にも**「出金拒否」や「詐欺」という口コミが多数。ようやくそこで、すべてが高額なツール販売と偽装ブローカーによる詐欺スキーム**だったことに気づきました。

被害者同士がつながり始めたSNSの声

被害に遭った後、筆者はX(旧Twitter)で同じブローカー名を検索。すると、同様のLINE講師やFX塾に誘導された人々の投稿が多数見つかりました。共通点は以下のようなものです:

  • 講師が個別にLINEで誘導

  • 有料ツールの販売(30万円~50万円)

  • 海外ブローカーへの勧誘(金融庁無登録)

  • 出金拒否・サポート消失

そこでは、被害者同士が情報交換したり、消費生活センターに相談した結果を共有したりする動きも。なかには警察へ相談し、民事・刑事の両面で対応したケースもありました。

筆者も、契約時のLINEやメールのやりとりを保管していたため、消費生活センターを通じて返金交渉を行いました。結果として全額の返金には至らなかったものの、一部返金とスクール運営者の所在確認までは行うことができました。

まとめ|“信頼感”を武器にした詐欺にご用心

今回の事例で重要なのは、「講師との距離の近さ」がむしろリスクになっていたという点です。LINEやビデオ通話を使った個別対応は、親切に見えても**実態はセールス目的の“演出”**であり、初心者ほどその甘い言葉に引き込まれがちです。

被害を防ぐには、次のような視点を持つことが有効です:

  • 金融商品の勧誘は“登録業者”かどうかを必ず確認

  • ツール販売を伴うFXスクールには特に注意

  • LINEなど閉じた環境での勧誘は記録を残し、第三者に相談を

  • SNSで同様の体験者がいないか、事前にチェック

副業や投資に取り組むこと自体は悪くありませんが、「信頼してしまったから」という理由で判断を委ねてしまうと、大きな損失につながる可能性があります。


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