裁判所が見る“射幸性”と履歴の具体的な関係
債務整理における免責判断では、「射幸性=偶然の利益を狙う行為」であるかどうかが重要な評価ポイントになります。そしてこの“射幸性”の有無を判断する材料が、まさに海外FXの取引履歴です。
裁判所が注目する履歴の要素には、以下のような観点があります:
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ロット数の推移:徐々にロットが上がっていれば「一発逆転狙い」の可能性が疑われる
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取引間隔と時間帯:深夜・短時間に集中している場合は衝動性を示唆する
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損切りの有無:損失を放置した履歴は「ギャンブル性」を強く印象付ける
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頻繁な入出金:負けた直後にすぐ再入金していれば、依存的な傾向と見なされやすい
一方で、ある程度の損切りルールや資金管理が読み取れる履歴であれば、「計画的な運用」として評価が分かれる余地が出てきます。
実際の事例に見る「免責されたケース」と「されなかったケース」
ここでは実際の免責判断で重要視されたポイントを、簡単な事例で紹介します。
免責が認められたケース(Aさん)
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取引履歴をすべてPDFで提出
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損失額は大きいが、取引回数が限られ、短期集中型ではなかった
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一定のルール(レバレッジやロスカット)を設定していた記録あり
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裁判所は「計画性を欠いたとは言い難い」として免責を認めた
免責が否定されたケース(Bさん)
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取引履歴の提出なし(ログイン不可を理由に)
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自作の取引メモのみで具体性が乏しい
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銀行明細には「月に6回の入金、2回の出金」が記録されていた
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裁判所は「依存性が強く射幸的」と判断し、免責不許可
このように、履歴の有無や内容次第で裁判所の見方が大きく分かれることがわかります。
まとめ
海外FXで損失を出し、債務整理を考える場合、最も重要なのは「行為の透明化」と「誠実な説明」です。履歴を残しておくこと、またアクセスできるうちに取得しておくことが、後の免責判断を左右します。
履歴がない場合でも、補完資料や説明を工夫することで裁判所の信頼を得ることは可能です。必要なのは「都合のいい資料を集める」ことではなく、「自分の過去を真摯に向き合って開示する姿勢」です。
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