為替差損を抑えるための「通貨一致戦略」とその応用
前編では取引通貨・出金通貨が異なることによるコストとリスクを整理しました。後編では、それらを避けるための「通貨一致戦略」と、実際にどのように運用すればよいかを解説します。
まず基本として、取引通貨と出金通貨を一致させることで、自動両替による為替コストを回避できます。たとえば、USD建て口座を使う場合は、USDでの入金・USDでの出金が理想です。この際、日本国内での両替手段(たとえばWiseやSBI新生銀行など)を活用することで、より好条件で為替交換が可能になります。
一方で、通貨一致が難しいケース(たとえばJPYしか使えない入出金方法しかない業者)では、為替レートのトレンドを見ながら出金タイミングをずらすといった対策も重要になります。為替変動が大きい局面では、レートが有利になるまで出金を保留することも検討できます。
入出金手段別の為替コストと両替条件を比較
銀行送金の場合
通常はFX業者の基準レート+手数料(1〜3%程度)がかかるため、両替コストは比較的高くなります。ただし、外貨で直接受け取れる海外銀行口座(たとえばWiseやRevolutなど)を活用することでコスト削減が可能です。
クレジットカード/デビットカード
自動的に円換算されることが多く、ユーザー側でレートの調整が難しい点がネックです。発行会社の為替レート+手数料(1〜2.5%)が乗るため、見えにくい両替コストがかかります。
オンライン決済サービス(Bitwallet、SticPayなど)
多通貨対応で両替レートが比較的有利なことが多く、口座内での通貨管理もしやすいのが特徴です。たとえばBitwalletでは、USDで出金→Bitwallet口座内でJPYへ両替→日本の銀行へ送金、という手順で両替タイミングを自分で決められます。
まとめ
海外FXにおける通貨選択は、トレード成果に直結する「見えにくいコスト」を左右します。取引通貨と出金通貨の一致を基本に据えつつ、両替のタイミングや手段を工夫することで、為替差損を最小限に抑えることが可能です。特に中長期トレーダーや頻繁に資金移動を行うユーザーにとっては、通貨の扱い方次第で年間の損益が大きく変動することもあります。
次回はこの戦略を踏まえ、具体的に「最も為替コストを抑えやすい組み合わせ」や「通貨変更が可能な業者・条件」について実例を交えて紹介していきます。
コメント