自動分析ダッシュボードの具体的構築ステップ
前編では、EA成績の見える化がなぜ重要か、そしてそれに必要な構成要素を整理しました。後編では、それらを具体的にどう組み立てていくか、ステップごとに解説していきます。
ステップ1:取引履歴のエクスポート
まずは、MT4またはMT5から取引履歴を出力します。MT4なら「口座履歴」タブを右クリックしてCSVで保存できます。MT5では標準でより詳細なレポート形式を出力できますが、自動処理にはCSV形式が適しています。
ステップ2:GoogleスプレッドシートやMySQLに自動転送
CSVデータをGoogle Apps Scriptで処理し、Google Sheetsに自動転記するのが手軽な方法です。中級者以上ならPythonやNode.jsを使い、VPS上で定期取得+MySQL格納も可能です。重要なのは継続的にデータが集約される仕組みを確立することです。
ステップ3:Looker StudioやPower BIで可視化
Google Looker Studio(旧 Data Studio)は無料で使え、Google Sheetsと連携が簡単です。以下のようなグラフを作成できます:
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月別の利益推移グラフ
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勝率・平均損益・最大ドローダウンのサマリー表
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通貨ペアごとのトレード件数と損益の散布図
ダッシュボード活用の注意点と改善サイクル
ダッシュボードを作るだけでなく、どのように使うかが運用の鍵です。
判断基準を持つ
例:
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月間ドローダウンが10%を超えたら停止
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勝率が50%を切ったらロジック再検証
こうした基準をもとに**「止める」「見直す」判断が迅速に取れるようにしておく**ことが重要です。
改善サイクルに組み込む
月1回など定期的にダッシュボードを確認し、EAごとの成績や相場の傾向を見て、ポートフォリオの見直しや稼働のON/OFFを検討しましょう。最終的には、成績と判断基準を紐づけて、自動停止ロジックの条件として反映することも可能です。
まとめ
EA運用において「感覚」で判断すると見逃すリスクやロスが生じやすくなります。だからこそ、成績の見える化と判断基準の明確化が重要です。
本記事では、MT4/MT5からの取引履歴取得から、Google Sheetsへの自動集計、Looker Studioによる可視化までの構築フローを紹介しました。また、可視化後の活用方法や改善サイクルの回し方についても触れました。
特別なプログラミングスキルがなくても始められる方法もあります。日々の自動売買結果を「見える化」し、戦略的な判断と改善を続けることで、より安定したトレード運用が可能になります。
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