ステップ3:改善とアップデートで“生き残るEA”に育てる
EAは「完成品」ではなく「育てるツール」です。バックテストや数週間のリアル運用では見えてこない課題も、月日とともに顕在化していきます。そこで重要になるのが、定期的なレビューと改善の仕組みづくりです。
エントリータイミングの見直しと条件の絞り込み
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勝率が安定しない場合、エントリー条件の精査が有効です。
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指標発表時など“例外相場”を避ける時間帯除外も検討しましょう。
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複数条件のうち、どれが寄与しているかの分析はExcelで可視化しやすいです。
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曖昧なロジックが多いEAほど、相場の変化に脆弱になる傾向があります。
複数EA運用でリスク分散する考え方
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ひとつのEAが不調でも、他のEAがカバーしてくれる運用体制は重要です。
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ただし、運用EA数が増えるほどリスクコントロールは複雑になります。
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「同じロジック違い」「逆張り/順張りのペア運用」などでバランスをとる方法もあります。
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すべてのEAに共通するKPI(リスク許容度、DD、勝率など)を設けておくと定期見直しがしやすくなります。
長期運用に向けた“安定化”と“撤退判断”の基準
いくら調整をしても、相場に適応できないEAは存在します。EAを長期で運用するには、「続ける基準」と「撤退の基準」を明確にしておく必要があります。
判断基準の“言語化”で迷いをなくす
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月次で「勝率50%以下が2ヶ月連続したら停止」など、数値でルール化します。
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損失が積み上がる前に撤退できる体制を整えておくことが最優先です。
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判断が曖昧になると、“調子が戻るかも”と期待して無駄な損失を出しがちです。
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EAのアップデート時期(相場との乖離検知)もKPIをもとに判断すると効果的です。
外注・販売EAを活かすポイント
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自作EAに限らず、外部提供EAも“改善する目”を持って使えば長期活用が可能です。
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運用環境(VPSの設定やスプレッド)をカスタマイズできる場合、EAのパフォーマンスが大きく向上するケースもあります。
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提供元のアップデートがあっても、自己検証を怠らない姿勢が重要です。
まとめ
リアル口座で長く使えるEAとは、ただ「勝てるEA」ではありません。環境への適応力、改善の柔軟性、そして撤退判断の明確さを持ったEAだけが、相場という不確実な世界で生き残るのです。
テスト・運用・改善という3つのステップを通じて、EAを育てていく視点を持つことで、自動売買は単なるギャンブルから“戦略的な資産運用”へと変わっていくでしょう。
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