複数口座運用が禁止される具体的なパターンとは?
前編では「なぜ複数口座運用が問題視されるのか」を解説しましたが、ここでは実際にどのような運用が“禁止対象”とされるのかを具体例とともに見ていきます。
パターン1:同一IP・同一ロジックの同時発注
もっとも一般的なNGパターンは、同一IPから同一EAで複数口座に同時に発注をかける手法です。業者によっては「一人一口座」規定があり、複数口座による同一タイミングの注文は“意図的なシステム回避”と見なされることがあります。
パターン2:アービトラージ的な複数業者間の同時注文
複数の業者に同一のEAを導入し、価格差を狙って利ざやを得る方法は、業者の視点から見ると明らかなリスクヘッジのないトレードとされ、非常に嫌われます。特に、STPやECN業者ではLPとの信頼関係を損なう要因になるため、利用停止措置がとられることもあります。
パターン3:リベート目的の取引量水増し
IB報酬(リベート)目当てで、同一ロジックの取引を複数口座で大量に行い、取引量のみを増やす目的の注文を繰り返す行為も問題です。このケースでは「利益を得る目的ではない取引」として、規約違反や悪質ユーザーと判断される可能性が高いです。
どこまでがセーフ?判断基準と回避のポイント
では、複数口座運用は完全に禁止されているのかというと、必ずしもそうではありません。業者ごとに方針が異なるため、以下のポイントを押さえることが重要です。
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同一IP利用の有無:業者によっては、同一IPからのアクセスを規制していない場合もある
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同一EAの使用制限:同一ロジックの同時稼働を制限しているか否かを確認
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アカウント数の規定:1人1口座までしか許可しない業者と、複数口座OKの業者がある
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自社EAか他社EAか:提供元によっては「同時稼働禁止」などの利用規約がある
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取引履歴の透明性:不自然なタイミング・ボリュームでの発注があれば要注意
対策1:業者の利用規約を事前に熟読
業者の「禁止事項」や「利用条件」には、EAや複数口座に関する記述が含まれていることが多いです。必ず英語原文含めてチェックしましょう。
対策2:稼働タイミングをずらす
もし複数口座を使うなら、発注タイミングをずらすことで「同時発注」にはならず、問題回避になることもあります。
対策3:異なるEAを使用する
別ロジックのEAを各口座に導入すれば、「複数口座で同一取引を行う」という規約違反は回避できます。ただし同一IP制限がある業者では要注意。
まとめ
複数口座運用は、戦略次第では有効ですが、業者のルールに違反する可能性がある危険な運用です。「なぜそれをするのか?」「どこまでが許容範囲か?」を明確にし、リスク回避のために必要な対策を講じることが重要です。
EAによる自動売買では、効率性と手軽さを追求するあまり、ルールを軽視してしまいがちです。しかし、業者側もサーバーやリスク管理の観点から運用を厳格に見ています。目先の利益だけでなく、持続可能な取引環境を構築する視点を持つことが、海外FXで長く戦ううえで不可欠です。
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