デモとリアルで結果が違う?過剰最適化EAが現実で通用しない理由
過剰最適化されたEAがデモ環境では華々しい成績を出していても、リアル運用になるとまったく異なる結果になることは珍しくありません。なぜなら、デモ口座とリアル口座では市場への影響と注文処理の仕組みが大きく異なるからです。
スプレッド・スリッページの影響
デモ環境ではスプレッドが固定・最小化されていることが多く、スリッページもほぼ発生しません。しかし実際のリアル市場では、特に経済指標時などにスプレッドが大きく広がり、想定通りの約定ができなくなります。過剰最適化されたEAほど、ミリ秒単位のエントリー精度に依存しているため、これらのズレが成績に大きな影響を及ぼします。
成績の再現性が乏しいロジック
成績が良すぎるEAは、狭い相場条件で最適化されており、「たまたま合っていた」戦略の集合体である可能性があります。これらは、ランダムウォーク的な相場変化に対応できないため、リアル運用の“現実的な揺らぎ”に非常に脆弱です。
成績の“良すぎるEA”が隠すもうひとつの罠:ドローダウンの先送り
見落としがちなポイントとして、「一見、損失が少ないように見えるEA」の中には、損切りを極端に遅らせたり、含み損を長く抱えるようなロジックを取っているものがあります。
このようなEAは、ドローダウンを「見えなくしている」だけであり、タイミング次第では一発で資金の大半を失うリスクがあります。特に以下のような挙動が見られたら要注意です。
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ナンピン・マーチンのロット増加が見えないよう小刻みに分散されている
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含み損の状態で無理に逆張りを続けている
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決済が異常に遅れ、「勝率100%だが評価益が常にマイナス」となる
こうした戦略は、短期的には“勝っているように見える”が、実際には極端なレバレッジリスクを孕んでいます。
まとめ:デモでも「疑ってみる力」を
成績が良すぎるEAは、初心者にとって魅力的に映りますが、実際には“危険信号”である場合が多いというのが本記事の結論です。
本当に使えるEAかどうかを判断するためには、デモトレード中に次の視点を持ちましょう。
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異常な成績には必ず理由があると疑う
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スプレッド・スリッページへの耐性を見極める
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ドローダウンを“表に出さない”ロジックに気づく
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短期の勝率より、長期の安定性と説明可能性を重視する
検証に手間はかかりますが、それは将来の損失を防ぐための“保険”です。デモトレードは単なる練習ではなく、**未来のリアル運用に耐えるロジックを見抜く“訓練場”**であることを意識してください。
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