「今日は危ないかも…」を検知するAI｜“トレード注意日”を見抜く感情スコア分析

トレードの“危険日”って本当にあるの？

トレーダーであれば誰しも、「なぜか今日は負けが続く」「冷静さを保てない」という“危ない日”の経験があるはずです。単なる偶然や相場の癖と思いがちですが、実はその日のメンタル状態や感情の傾向が深く関係している可能性があります。

では、「今日は危ない日だ」と事前に察知できる方法はないのでしょうか？

その問いに答えるのが、感情スコアをAIで分析するアプローチです。日々の感情・集中度・疲労感・不安度といった内面のログを記録し、それがトレード結果にどう影響しているかをAIが数値化・可視化することで、「トレードすべきでない日」が見えてくるのです。

本記事の前編では、以下の3つの視点から“危険日”の存在を掘り下げていきます。

まず確認すべきは、「感情スコアって何？」という根本的な話です。ここで言う“スコア”とは、以下のような要素をもとにしてAIが分析・定量化した数値です：

これらのデータを統合的に処理することで、「今日は自分の感情コントロールが安定しているかどうか」「過信や焦燥が強まっていないか」といったメンタルの状態がスコアとして見える化されます。

このスコアとトレード成績を並べて見ることで、「感情スコアが低い日は負けが増える」といった相関が浮き彫りになります。

とはいえ、AIに感情を理解させるには、まず正確で一貫したログを残すことが必要です。初心者でも実践しやすい記録方法は以下の通りです。

5段階評価で「集中できそうか」「不安は強いか」「前日の影響が残っているか」などをチェックする簡易フォームを使いましょう。

勝敗にかかわらず、その日の感情と判断の流れを1～2文で記録。テンプレートを用意すると継続しやすくなります。

睡眠・心拍・血中酸素濃度などのバイタルを自動記録してくれるスマートウォッチは、無自覚な体調変化を検知する強力なツールになります。

これらの情報をExcelやNotionなどに時系列で蓄積し、分析に回すことで、「今日は危ないかもしれない」という日を事前に予測できるようになります。

以降ではこうしたログをもとにAIで分析・通知する仕組みや、実際の運用パターンを具体的に紹介していきます。

前編で紹介したような感情ログを蓄積すると、次に必要になるのはAIによる分析です。感情データとトレード結果の相関をAIが学習することで、「勝率が落ちやすい日」のパターンを予測可能になります。

具体的には、以下のような処理を行います：

この分析に使われるAIモデルは、線形回帰や決定木のようなシンプルなアルゴリズムでも十分成果を出しますが、データ量が増えると深層学習を用いたモデルも視野に入ってきます。重要なのは「自分の傾向にフィットしたモデルを継続的に学習させる」ことです。

では、AIが「今日は危ない」と判断した場合、トレーダーはどう行動すればよいのでしょうか。以下の3つの対応策が現実的です。

シンプルですが最も有効な選択肢です。スコアが危険信号を示す日は、あえて参戦しないことで損失リスクを回避できます。特に大きく張る予定の日であれば、その判断は大きな差になります。

「裁量を減らし、システムトレードに徹する」「小ロットで練習モードにする」など、感情が入りにくい手法に切り替えることで、判断ミスを最小限に抑えられます。

NotionやLINE通知などと連携させて、朝のスコア判定結果を自動で受け取れる仕組みにすれば、意識せずとも習慣的な対応が可能になります。

AIはあくまで「自己判断を補助する警告灯」です。絶対視せず、トレーダー自身の直感や経験とあわせて活用することが、成功への近道になります。

「今日は危ないかも…」という漠然とした感覚を、データとAIによって具体的に可視化し、注意日を察知する。それが感情スコア分析の大きな利点です。トレードはメンタルが結果を左右する世界だからこそ、こうした内面データの活用は非常に相性が良いのです。

自分自身の傾向を知り、予測し、時に止まる勇気を持つこと。それこそが、“負けないトレーダー”への第一歩と言えるでしょう。