自動化の“その先”へ:実行をともなう連携の発想
多くのトレーダーがChatGPTを情報整理や分析補助に使い始めている今、次に意識すべきステップは「実行までを含むワークフロー」の構築です。
たとえば、ChatGPTで「買いの根拠は成立した」と判断できたなら、その次に「じゃあどうする?」まで自動で進められたら、実務のレベルが一段上がります。
本記事では「判断結果に基づき、外部ツールに実行を命令する」仕組みに焦点を当てます。
トレードの自動化=EA(エキスパートアドバイザー)というイメージが強いかもしれませんが、ここで紹介するのは「裁量判断を補完するかたちでChatGPTがアクションを実行する」という、新しい発想です。
裁量の“壁”をどう超えるか?
裁量トレードは「チャートを読んで判断する」プロセスだけでなく、「判断に至るまでの情報整理」や「タイミングを逃さない行動」も含めて難易度が高いです。
この複雑性をほぐすために、ChatGPTを中心としたワークフローに「外部実行機能」を加えることで、裁量の一部を補助・代替できる可能性が見えてきます。
「実行まで任せる」ために必要な構成要素
実行系ワークフローを設計するには、以下の3つの要素を組み合わせる必要があります:
- 判断:ChatGPTまたはLLMがトレード条件を読み取り、行動の是非を判断する
- 連携:APIなどを用いて、判断結果を外部ツールに伝達する仕組みを用意する
- 実行:自動でポジション発注、通知送信、記録保存などのアクションを起こす
この3要素を満たすことで、「情報→判断→行動」の一連の流れが自動化され、トレーダーの意思決定負荷を大幅に軽減できます。
ChatGPTはどこまで“実行指示”を担えるか?
Pythonコードの生成と活用
ChatGPTはコードを生成できるため、簡単な発注スクリプトやSlack通知用コードなどを自動生成することが可能です。
たとえば:
- 「ユーロドルが1.0850を超えたらSlackで通知して」→Slack WebhookとPythonコードを生成
- 「トレード記録を日次でGoogle Sheetsに送って」→Google APIを使った記録スクリプトを構築
このように、ChatGPTは“考える”だけでなく“手を動かすコード”を自ら作る存在になっています。
ただし、APIキーやトークンの安全管理、テスト検証はユーザー側で責任を持って運用する必要があります。
次回の後編では、実際のワークフロー構築例として「価格監視→条件一致→自動記録+Slack通知」の一連流れを詳解し、さらにEAやシグナルツールとの連携例も解説します。
ワークフロー構築の実例:価格監視から通知までの自動化
前編では、ChatGPTを用いた判断→連携→実行の仕組みを概説しました。
ここでは、その一連のプロセスを具体的なワークフローとして構築し、実務レベルでどう動作するのかを明らかにします。
ステップ1:価格の条件チェック
まず、為替レートの監視にはAPI連携が必要です。
たとえば、exchangerate.host
やAlpha Vantage
などの無料APIを使えば、1分ごとに最新の価格を取得できます。
pythonimport requests def get_price(): response = requests.get("https://api.exchangerate.host/latest?base=USD&symbols=JPY") return response.json()["rates"]["JPY"]
このような関数をChatGPTが自動生成・編集し、条件式(例:価格が150.00円以上)に基づく判断処理も組み込みます。
ステップ2:条件を満たしたらSlackに通知
価格が条件を超えた場合、Slackなどに通知することで即座にトレーダーが対応可能になります。
pythonimport requests def send_to_slack(message): webhook_url = "https://hooks.slack.com/services/XXX/YYY/ZZZ" requests.post(webhook_url, json={"text": message})
この機能をChatGPTが組み込むことで、裁量トレーダーの作業は「通知を見て判断する」だけに絞られます。
EAや外部シグナルツールとの連携構想
MetaTraderとの統合はどう進めるか?
MT4/MT5で稼働するEA(エキスパートアドバイザー)とChatGPTを連携するには、通常MQL言語との橋渡しをPythonやNode.jsで構成する必要があります。
たとえば:
- EAがシグナルをJSON形式で出力
- ChatGPTがそのJSONを評価し、実行コードを生成
- 通知・記録・再分析といった補助作業を自動で展開
このような構成にすることで、裁量判断だけでなく、自動判断型EAの“解釈補助”としてもChatGPTが活用可能です。
裁量+自動のハイブリッド型が主流に?
ChatGPTを「裁量判断の補助」としてではなく、「判断+実行の一部を担う協働者」として使うことで、従来の自動売買や裁量トレードとは異なる第三のスタイルが確立されつつあります。
この流れは、2025年以降のトレーダーにとって重要な差別化要素となるでしょう。
まとめ
ChatGPTはもはや「分析のお供」にとどまらず、「条件に応じて実行まで任せる存在」へと進化しています。
API・Webhook・コード生成を組み合わせることで、シンプルな価格通知から、MT連携や自動記録までを1つの流れで自動化できます。
この記事をきっかけに、あなたのトレード環境にも“実行連携”という新たな一手を取り入れてみてください。
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