事例3:「マイナス収支なので申告不要」と思っていた
海外FXで年間を通してマイナスになった場合、利益が出ていないから申告しなくてもよいと考える人がいます。しかし、たとえマイナスであっても、他に雑所得のある人や、翌年以降のために「損失証明」を残しておきたい人は申告すべきです。
特に、仮想通貨やアフィリエイトなど、同じ「雑所得区分」で利益が出ている場合、FXの損失を差し引いて課税対象を減らせる可能性があります。これを「損益通算」といい、節税効果が見込めます。
また、将来的に利益が出た際に、過去の損失を繰り越すことはできませんが、税務署に「継続して収益化に取り組んでいる」姿勢を見せることには意味があります。
事例4:取引明細を添付せず、自己申告だけだった
税務署からの指摘で最も多いのが、「根拠書類の不備」です。特に海外FX業者は国内業者と違い、年間取引報告書のようなフォーマットが存在せず、自分で損益をまとめる必要があります。
このとき、ただ合計額を記載するだけでなく、「どの取引がどのように利益(損失)になったのか」を明示できるエビデンス(証拠書類)が求められます。
具体的には、以下のような書類を添付・保存しておくことが望ましいです:
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月次の取引履歴(英語でも可)
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自作の損益集計シート(円換算済み)
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為替レートの参照サイトURLやレート表
これらをきちんと提示できれば、税務署からの信頼度も高まり、指摘リスクを軽減できます。
事例5:「副業」と申告していたら所得区分が変わっていた
税務署の視点では、海外FXは「雑所得」に該当するのが原則です。しかし、一部の納税者が「事業所得」として申告したり、「副業」として給与所得と合算して記載したりするケースがあります。
これは非常に危険で、税務署が「申告区分の誤り」として否認する可能性が高くなります。特に事業所得として扱うと、青色申告控除などのメリットを得られますが、その分「継続性・独立性・反復性」などが厳しく審査されます。
副業感覚で始めたトレードを「事業所得」と誤って記載すると、追徴課税の対象になることもあるため、注意が必要です。
まとめ
海外FXの確定申告では、日本国内の常識が通用しない部分が多くあります。そのため、知らずにミスをしてしまい、後で税務署からの指摘や修正を受けるケースが少なくありません。
本記事で紹介した5つのミスは、どれも「ちょっとした思い込み」から始まります。しっかりと根拠を持ち、税務署目線で申告を組み立てることが、トラブルを避ける最大のポイントです。
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