「その証券会社、金融庁の登録ありますか?」と聞かれた話

SNSで知り合った“トレード仲間”との出会い

きっかけは、とある投資系SNSアカウントとのやりとりでした。投稿には「安定して毎月20%増やしています」などの実績が並び、初心者の質問にも丁寧に返信していたため、私も思わずDMで声をかけました。

相手は自称・個人トレーダーで、「海外口座を使えばレバレッジも高くて自由度がある」「最近、登録済の証券会社に変えた」といった話をしていました。私も国内FXに限界を感じていたことから、興味を持ち、使っているという証券会社のURLを教えてもらいました。

サイトは一見すると日本語もしっかりしていて、UIも整っており、「ここなら大丈夫かも」と思わせるものでした。登録時には本人確認もあり、国内証券会社に近い安心感がありました。

「金融庁登録済み」とは限らない? 見落としがちな確認ポイント

そのときは「金融庁に登録されてるから安全」と相手が言っていたため、特に疑うことなく口座を開設しました。しかし、後日別のSNSユーザーから「その証券会社、金融庁のリストにないですよ」と指摘され、初めて「無登録業者かもしれない」という不安に襲われました。

実は、「登録済み」のように見えても、実際は海外の金融ライセンスを取得しているだけで、日本の金融庁には登録されていないというケースが多々あります。中には、公式サイトのフッターに小さく「マルタ共和国登録番号XXXX」などと記載している業者もあり、詳細を読み飛ばすと気づきません。

日本でFX事業を提供するには、金融商品取引法に基づく登録が必要です。無登録業者と取引した場合、トラブル時に日本の金融ADRなどの救済制度が使えないため、実質的には“泣き寝入り”になる可能性が高いのです。

登録業者かどうかを調べる具体的な方法

金融庁のサイトには「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」というリストが公開されており、定期的に更新されています。そこに記載されていれば、すでに注意喚起されている業者ということになります。

調べる方法は次のとおりです。

  1. 金融庁の公式サイトにアクセスする

  2. 「無登録業者リスト」を検索し、PDFまたは一覧表を確認

  3. 業者名・運営会社名・URLなどを照合する

  4. 日本国内での登録があるかも併せて調査

登録されていない業者は、名前やURLを微妙に変えて運営している場合もあるため、類似名称にも注意が必要です。

以降では私が実際に体験した“無登録業者でのトラブル”と、なぜ金融庁登録の有無が重要だったのかを具体的に解説します。


無登録業者で実際に起きた“出金不可”トラブル

私が開設した口座は、SNSで知り合った“副業講師”の紹介によるものでした。取引プラットフォームも整っており、入金もスムーズだったため、初月は安心してトレードを行っていました。しかし、数回の利益を得て「一度出金してみよう」と申請したときに異変が起きました。

出金申請から数日経っても資金は振り込まれず、サポートに問い合わせても「順次処理中」との返答のみ。さらに数日後、「出金前に税務対策費用が必要」と言われ、指定口座に数万円の追加入金を求められたのです。

調べてみると、これは無登録業者にありがちな“架空の費用請求”で、出金させない手口として広く知られているものでした。完全に騙されたと気づいたときには、すでに初期投資額+追加入金の全額が戻らない状況になっていました。

金融庁登録業者との“仕組みの違い”を改めて理解する

日本の金融庁登録業者は、顧客資産の分別管理や出金ルールが法的に義務付けられており、不正な資金拘束や追加入金の強要は明確な違法行為となります。また、万が一のトラブル時には、日本の金融ADR制度などの相談窓口も整っています。

一方、海外無登録業者にはそうした枠組みがなく、「そもそも日本に拠点がないため訴訟すら困難」「ライセンス国に問い合わせても対応してくれない」という現実があります。

今回の経験を通じて、“稼げるかどうか”ではなく、“信頼できるかどうか”が最優先であることを痛感しました。SNS上でどんなに丁寧なやりとりがあっても、その奥にいるのは正体不明の個人であり、事業者としての責任を取ってくれるわけではありません。

まとめ

「金融庁に登録されていますか?」という問いは、一見シンプルに思えますが、実は非常に奥深いリスク判断の入口でもあります。SNSで勧誘される“FX副業”の中には、海外ライセンスを盾に「登録されている」と主張するケースもありますが、日本で活動するには別の基準が存在します。

実際に私が経験したように、出金できなくなるリスクは現実に存在し、その対応に追われる精神的・金銭的負担は計り知れません。読者の皆さんには、“信頼できる業者かどうかを見極める視点”を持つことが、何よりも重要であることを、ぜひ心に留めていただきたいと思います。


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