SNSで「資金管理を教える」と勧誘された話

「プロが教える」という誘い文句の裏側

SNSを見ていると、「FXで安定的に勝つには資金管理がすべて」といった投稿をよく目にします。特に、「裁量は不要。正しい資金管理とルールに従えば勝てる」と主張するアカウントが、資金管理ノウハウの提供やコンサルを装ってDMを送ってくるケースが増えています。

これらは一見すると、トレード経験者が“本質”を語っているように見え、初心者ほど魅力的に映ります。しかし、実際にはその多くが「高額な講座販売」「海外FX業者への誘導」「信頼関係を築いた後の資金搾取」などの被害へとつながることも少なくありません。

「プロトレーダー」「元金融マン」などの肩書を持つ発信者が、LINEグループに誘導し、「少人数で密に教えます」として無料でアドバイスを始める流れが定番です。そして、信頼関係が築かれた後に有料講座を勧められたり、大量の資金投入を促されたりするパターンが多く見られます。

実体験:きっかけは「負け続き」のツイートから

私が被害にあったのは、ちょうどFXを始めたばかりで負けが続いていた頃でした。ツイートで「もう連敗続きで自信なくなってきた」と書いたところ、あるアカウントから「資金管理さえできれば勝てますよ」とDMが届きました。

その相手はプロフィールに「資金管理コンサルタント」「専業トレーダー7年目」と書かれており、フォロワー数も1万人を超えていました。彼は、「今なら無料でサポートしている」と言ってLINEに誘導してきました。

LINEでは、毎日のように資金管理の考え方やロット計算表、リスク許容度に関するアドバイスが送られてきました。情報の質も高く、何より「自分のことを親身に考えてくれている」と感じさせる巧みなやりとりに信頼感が生まれました。

サポートの一環で指定業者の口座を開設

やりとりの中で、「このやり方はAというFX業者のスプレッドやレバレッジに最適化されています」と言われ、指定リンクから口座開設と入金を求められました。

「自己資金は少ないと逆に危険」と言われ、生活資金から20万円を捻出して入金。すると、その資金に対してリスクを分散するためのロットを指示され、その通りにトレードを始めました。

最初の数日は順調で、「すごい、勝てるかも」と思いましたが…

(後編ではこの続きとして、「資金管理」の名のもとに誘導されるトラップの構造、実際の損失、勧誘者の正体、そして防止策について詳しく解説します)


資金管理のはずが「指定通貨ペア強制」の謎ルール

私が教わっていた“資金管理コンサル”は、いつの間にか「この通貨ペアでエントリーしてください」「今週はドル円で固定です」といった指示に変わっていきました。最初は「初心者には選択肢を狭めた方がいい」との理由で納得していましたが、実際は“ある業者のリベートプログラム”を背景にした誘導であることがのちに判明しました。

通貨ペアを絞らせる理由は、紹介者がリベート(IB報酬)を最大化するためでした。スプレッドが広めのペアや、取引量が多くなるタイミングに誘導すれば、それだけ報酬が増える構造です。しかも、途中からスプレッドが明らかに拡大していたにもかかわらず、それに気づかないような分析しかされていなかったのです。

被害拡大:信頼関係が崩れた瞬間

3ヶ月ほど経った頃、急な相場変動があり、リスク許容度を超える損失を被りました。コンサルからは「想定内です。ここで追加資金を投入すれば回復できます」と言われ、私はすでに50万円近くを入金していたにも関わらず、さらに10万円を用意してしまいました。

ですが、その直後から連絡が徐々に途絶え始め、1週間後にはLINEもブロックされていることに気づきました。彼が所属していた“コンサルグループ”のSNSも一斉に削除され、完全に姿を消しました。

その後わかったこと

後日、他の被害者が集まった掲示板で情報を得たところ、同じようなやり方で被害に遭った人が10人以上いたことが判明。彼は複数のアカウントを使い分け、月に数十人を同じ手口で勧誘していたようです。海外FX業者にとっては新規口座が増え、紹介者はIB報酬で稼ぎ、被害者だけが損を被る構図でした。

まとめ

「資金管理は重要」という言葉自体は間違っていません。しかし、その“正論”を利用して初心者の不安に付け込み、特定の業者への誘導や資金投入を促す手法は詐欺に極めて近いものです。

本当に資金管理を教える人は、特定の業者や取引の強要をせず、自立した判断力を育てるサポートをするものです。今後は、情報の出どころとインセンティブ構造を意識しながら、慎重に判断する目を持つことが重要です。


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