給与所得者再生と小規模個人再生、どっちがいい?仕組みと選び方の違い

個人再生には2種類ある?仕組みの違いを押さえておこう

個人再生は、借金の大幅な減額と分割返済を可能にする法的な債務整理手続きですが、その中には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。どちらも裁判所の手続きを経て進められますが、要件や返済条件に明確な違いがあります。

小規模個人再生は、主に自営業者やフリーランス、収入が変動しやすい人が利用することを想定しており、再生計画は債権者の同意が必要です。一方、給与所得者等再生は、安定した収入のあるサラリーマンなどを対象にしており、債権者の同意が不要という大きな特徴があります。

ここで「どちらを選ぶべきか」は、単に雇用形態だけでなく、収入の安定性や債権者の関係、返済負担の重さによっても変わってきます。まずは、2つの制度の基本的な仕組みと条件を比較しながら見ていきましょう。


小規模個人再生の特徴とは?対象者とメリット・デメリット

小規模個人再生は、多くの個人事業主や非正規労働者など、収入に波のある人向けに設計された制度です。以下が主なポイントです。

  • 対象者:将来的に継続的収入が見込めるすべての個人(雇用形態問わず)

  • 特徴:

    • 債権者の同意が必要(過半数の同意)

    • 可処分所得基準がないため、返済額が低く抑えられることも

    • 財産を守りながら手続き可能(住宅ローン特則も利用可)

ただし、債権者の同意が必要という点が大きなハードルです。特に、貸金業者や金融機関が再生計画に反対した場合、計画が認可されずやり直しになるケースもあります。また、提出書類や収支報告の正確さが求められるため、専門家の支援が重要です。


給与所得者等再生はどんな人向け?可処分所得との関係

給与所得者等再生は、会社員や公務員など、定期的・安定的な収入がある人を対象にした手続きです。特に、以下のような状況の方に適しています。

  • 給与収入が年収の大半を占めている

  • 突然のリストラや業績不振の心配がない

  • 債権者との交渉に自信がない、または避けたい

最大の特徴は「債権者の同意が不要」である点です。つまり、裁判所が再生計画を適当と認めれば、債権者の反対があっても再生計画が成立します。ただしその分、返済額の基準が厳しくなり、「可処分所得(生活に必要な支出を差し引いた手取り)の2年分」が最低返済額となることが多く、小規模個人再生よりも返済負担が大きくなる傾向があります。

以降ではこれら2つの制度を比較しながら、選択の判断ポイントを整理し、どちらを選ぶべきかを具体的に解説していきます。


どちらが返済額を抑えられる?返済基準から考える判断軸

小規模個人再生と給与所得者再生では、返済額の算出方法が大きく異なります。小規模個人再生では「最低弁済額(法律で定められた下限額)」を基に再生計画を立てることが多く、債務総額や財産額が一定基準以下であれば、返済額はかなり抑えられる可能性があります。

一方、給与所得者再生は「可処分所得の2年分以上」という返済義務が課せられます。つまり、収入が安定していても、生活費を差し引いたあとの手取りが高い場合には、かなりの金額を返すことになるケースもあるのです。

判断のポイントは、可処分所得と財産状況、そして返済負担のバランスです。生活にゆとりがない人は、返済額の観点から小規模個人再生のほうが有利な場合もあります。ただし、債権者の同意が得られなければ計画が成立しないため、全体の状況を冷静に見極めることが求められます。


選択を誤るとどうなる?再生計画不認可のリスクとその対処

再生手続きは慎重に進める必要があります。たとえば、小規模個人再生を選んだ場合、主要な債権者から反対されてしまうと、手続き自体が失敗に終わってしまいます。その場合、自己破産に切り替えざるを得ないケースもあります。

一方、給与所得者等再生を選べば債権者の同意が不要であるため、再生計画が通りやすい反面、返済額が予想以上に高くなり、生活が圧迫されて途中で返済不能に陥るリスクも。結果として再生計画の履行ができず、やはり失敗に終わることもあり得ます。

このように、どちらの手続きにも一長一短があります。選択を誤らないためには、専門家(弁護士や司法書士)に相談し、自身の財務状況と今後の収入見通しを冷静に分析した上で判断することが何より重要です。


まとめ

小規模個人再生と給与所得者等再生は、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが「良い」というよりも「自分に合った制度」を選ぶことが肝要です。収入の安定性、債権者との関係、返済能力などを総合的に考慮し、無理のない再生計画を立てることが、債務整理成功への近道です。


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