見直し後の対応:EAをどう判断・調整するか?
前編では、EAの月次成績をどう分析するか、その指標とツールの活用法を解説しました。後編では、その結果をもとに、どのようにEAの運用判断をすべきかを整理します。
成績悪化EAの3つの対応パターン
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運用継続:想定範囲のドローダウン、かつ長期的には安定していると判断される場合はそのまま運用。
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一時停止:成績が悪化しつつも、原因が相場との相性など一時的と考えられる場合は停止して様子見。
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ポートフォリオから除外:明らかにリスク過多・継続不能と判断されるEAは切る判断が必要。
この判断には、月単位の数字だけでなく、「相場変化」「EAの特徴」「他EAとのバランス」なども含めて総合的に考える必要があります。
成績悪化の“許容ライン”をどう定めるか?
「どこまでなら成績が悪くても許容するか?」という基準は、EAごと、ポートフォリオ全体のリスク許容度によって異なります。以下のような視点から判断すると、感情に左右されない評価が可能になります。
定量的な基準設定の例
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月間ドローダウンが初期資金の10%以内:基本は許容。
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PF(プロフィットファクター)が1.2未満で2か月連続:見直し対象。
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勝率が急低下(例:過去平均60% → 今月30%):アルゴリズムの相性問題を疑う。
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月間取引数が極端に少ない:相場への対応力が低下している可能性あり。
感情に左右されない評価体制を作る
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エクセルやGoogleスプレッドシートで、月次指標を数値として記録・可視化する。
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自作スコアシート(例:損益・勝率・DDに点数をつける)でランキング化。
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月1回のチェック日を固定することで、都度判断を避ける。
ポートフォリオ全体でどう調整する?
EA単体での評価だけでなく、「他EAとの組み合わせ」にも注目する必要があります。どんなに好成績のEAでも、他と重複した取引タイミングや通貨ペアであれば、リスクが偏りやすくなります。
分散効果を損なわない調整とは?
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不調EAが抜けた穴に、似た特性のEAをそのまま補充しない。
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稼働中EAの通貨ペア、トレード時間帯、戦略(スキャル・デイ・スイングなど)のバランスを見る。
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一時停止したEAを再稼働する際には、ポートフォリオ全体の構成比を再チェック。
まとめ
EAの月次成績を「見て終わり」にしないことが、継続的な収益化に欠かせません。単体の成績だけでなく、ドローダウンやPFの水準、ポートフォリオ全体のバランスまでを含めて分析し、定期的に最適化していくことが重要です。自動売買は“自動”であっても“放置”では成功しません。運用者としての判断力とルール整備が、最終的な成果を左右します。
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