相場タイプごとに選ぶべきテスト期間の考え方
EAのタイプによって、テスト期間の選び方にも工夫が求められます。具体的には、相場環境(トレンド・レンジ)との相性や、ロジックの持続性を判断する材料になります。
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トレンドフォロー型EA
→ 長期テスト(5〜10年)でトレンド発生頻度やドローダウン期間を確認することが重要。トレンドが出づらい年に苦戦している場合、フィルター条件を見直すヒントになります。 -
逆張り型EA(レンジ狙い)
→ レンジが多い期間(例:2014年〜2016年)を重点的に確認し、ボラティリティの変化に対するロジックの耐性を確認。レンジ崩壊時の損失拡大をどう制御するかが鍵です。 -
スキャルピングEA
→ 直近1年〜2年の低スプレッド環境での再現性を重視し、バックテストの“現実性”が最重要。古いデータはスプレッド条件が異なり、誤認を招く恐れがあるため注意。 -
マーチンゲール型EAやナンピン系
→ 過去10年での“最悪ケース”を検出するには、あえて長期検証を行い、破綻する可能性がある条件を洗い出すほうが有用。極端な相場変動にどう対応するかが焦点。
テスト期間の設定で成績が変わる?──NG例とその背景
バックテスト期間の設定次第で、EAの成績は見かけ上いくらでも「良く見せる」ことができます。これは“最適化の罠”にも直結します。
よくあるNG例
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ドローダウンを避けて都合のいい期間だけ選ぶ
→ 成績が良くなるような期間(トレンドが続いた時期など)を選ぶと、ロジックの“バブル”を見落としてしまう。 -
同じテスト期間で複数ロジックを比較する
→ 一見公平に見えるが、そもそも各ロジックが得意とする相場が違うため、本質的な比較になっていない。 -
2000年代のデータを盲目的に信頼する
→ MT4やヒストリカルデータの精度が低い時期もあり、特にスプレッド条件が現在と乖離している点に注意が必要。 -
直近1年間だけで判断してしまう
→ 今後の相場がその年と似ているとは限らない。特に、ドローダウンの兆候を無視してしまうリスクが高い。
避けるための対策
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複数期間・相場局面を分けた検証を行う
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直近成績と長期安定性の両方を確認
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戦略の前提が変わっていないか再点検する
まとめ
バックテスト期間の選び方は、単に「長ければいい」「直近が良ければ安心」といった単純なものではありません。EAの特性と照らし合わせて、「どの相場環境に強いか」「何を検証したいか」を明確にしながら、意図を持った期間選定が必要です。
また、バックテストはあくまで“過去の相場に対する検証”であることを忘れてはいけません。実際の相場では、過去にない変動や予測不能なニュースが常に発生します。だからこそ、複数の期間で検証し、EAの強みと弱みを把握することが、長期運用におけるリスク管理にも直結するのです。

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