EAを組み合わせて“どんな相場でも戦える”ポートフォリオを構築する
相場の変化に柔軟に対応するためには、複数のEAを適切に組み合わせる戦略が有効です。この際、単に勝率の高いEAを並べるだけではなく、“互いに異なる得意分野”を持つEAを選定することがポイントです。
以下に、ポートフォリオ構成の際に意識すべき要素を挙げます:
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ロジックの分散:トレンド系、逆張り系、ブレイクアウト系など戦略が異なるEAを混ぜる。
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時間足の分散:5分足EAと1時間足EAなど、時間軸の違いによるエントリーの分散。
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通貨ペアの分散:相関が薄い通貨ペアを対象としたEAを組み込む。
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稼働時間帯の分散:東京時間に強いEA、欧州時間に強いEAなど、稼働セッションの違い。
このような分散設計を施すことで、一時的に不調なEAがあっても、全体としてのドローダウンを抑えやすくなります。
自動でEAを切り替えるには?「環境認識+EA制御」の設計例
前編では「環境認識」による手動判断を前提としましたが、運用の効率を考えると自動で相場環境を判定し、EAの稼働/停止を切り替える機構も魅力的です。
EA制御用スクリプトの例
MQL4やMQL5では、GlobalVariableやFileWriteなどを活用して、複数EA間で共通の“環境判定結果”を共有できます。
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環境認識モジュール(例:TrendDetector.mq4)
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トレンドかレンジかを判定して、GlobalVariable
market_modeに値をセット。
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EA本体
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OnTick()やOnInit()の中でmarket_modeを読み取り、稼働可否を条件分岐。
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スケジューラーや管理ツールの活用
MT4/MT5には標準機能で稼働時間の制限は可能ですが、より柔軟に管理するなら「TradeManager」や「EA Launcher」などの外部ツールを併用する選択肢もあります。
まとめ
“相場ごとにEAを切り替える”という発想は、EA運用を単なる放置運用から戦略的な自動売買へと進化させる鍵となります。
単一のロジックに頼るのではなく、相場環境ごとに適したEAを判断・選択することで、以下のメリットが得られます:
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ドローダウンの抑制と収益の安定化
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長期にわたるロジックの陳腐化リスクの軽減
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バックテストでは見えない“運用現場の柔軟性”の確保
この戦略を実現するためには、「環境認識のスキル」と「EAの性質理解」、そして「ポートフォリオ設計と運用管理」の3要素が重要です。

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