ロット数とストップ幅の関係を再確認する
前編では、ストップ幅を意味ある位置に設定する重要性を説明しました。では、そのストップ幅が大きくなると、資金管理上どのような対応が必要になるでしょうか? それが「ロット数の調整」です。
ストップ幅が広がる=1回の取引で許容する損失額が大きくなる、ということです。そのままのロットで取引すれば当然リスクが増えます。そこで、ロット数を「損失額 ÷ ストップ幅」で計算し直す必要があります。
たとえば、1回のトレードで失ってもよい額が1万円、ストップ幅が50pipsなら、1ロットあたりの損失額が1,000円になるよう、0.2ロット程度に調整する必要があります(通貨ペアとレバレッジにもよる)。
このように、ストップ幅に応じてロットを調整することで、リスクを一定に保ちながら多様な戦略を取ることが可能になります。
実践的なストップロス設定の考え方
では、実際にストップロスを設定する際、どのような手順で決めていくべきでしょうか? ここでは実践に即した3ステップで紹介します。
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相場構造を確認する:チャートの直近高値・安値、サポレジライン、トレンドラインなどを確認し、想定が崩れる価格帯を明確にする。
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平均的なボラティリティを確認する:ATR(Average True Range)などの指標を用いて、どの程度の値動きが通常なのかを把握する。
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資金管理に基づいてロットを調整する:許容損失額に対して適切なロット数を算出する。
このように、ストップロス設定は「感覚」ではなく「戦略的判断」に基づくものであるべきです。経験値が増えると、より柔軟なストップの置き方ができるようになりますが、基本はこの3ステップです。
まとめ:損切りは「損」を防ぐための技術ではなく、「戦略を守る」技術
ストップロスは一見、「損を受け入れる行為」のように感じます。しかし実際には、「戦略が間違っていたときに、次の戦略を機能させるための撤退ライン」を意味します。
損切りを恐れてストップを広げすぎるとリスクが膨らみ、狭すぎるとノイズで損切りされやすくなります。そのバランスを取るには、相場分析と資金管理の両輪が必要です。
適切なストップ幅とロット数を設定し、自分のトレードを客観的に見つめる習慣を持つことが、長期的に安定した利益を上げる第一歩です。
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