どこまでリスクを取れるか?──「攻め」の設計とその前提
前編では、自分にとって心理的に耐えられる「損失許容額」の基本的な決め方や、連敗を想定した資金管理の設計について扱いました。後編ではその延長線上として、実際にトレードで「どこまでリスクを取ってよいのか?」という“攻め”の観点に切り込んでいきます。
ここで重要なのは、「守り=損失許容額」だけでは収益を出せないという現実です。とはいえ、リスクを過度に取れば、わずかな逆行で口座が吹き飛ぶ危険もあるため、戦略的に「攻めどころ」と「守りどころ」を分ける設計が求められます。
「このトレードは自信がある」「この相場環境なら逆張りはリスクが高い」といった判断を、主観に任せすぎることなく、定量的な基準(勝率、リスクリワード比、過去検証)に落とし込む必要があります。
実際のロット数とレバレッジ設定──損失許容額から逆算する技術
“損失許容額の決定”と“実際のロット数設定”を切り離して考えてはいけません。たとえば、1トレードの最大損失を5,000円に設定した場合、損切り幅が25pipsなら「1pips=200円」のロットを組む必要があります(=2万通貨=0.2ロット)。
ここで、リスクリワード比を1:2で考えると、20pipsの損切りで40pipsの利確を狙うトレードでは、1回の勝利で8,000円の利益、1回の敗北で4,000円の損失、勝率が50%を超えれば長期的にプラスになります。
このように「損失許容額」→「損切り幅」→「ロット数」の順で逆算していくことで、感情的なロット設定を防げます。また、証拠金維持率やレバレッジの安全域もチェックし、トレード前に「どのくらい証拠金に余裕があるか」を明確にしておくことも重要です。
例:通貨ペアごとのリスク幅に注意
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ボラティリティの高いGBP/JPYなどはpips変動も大きく、ロット設定に注意
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USD/JPYは比較的狭いレンジが多く、細かい損切りに適する場面もある
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レンジ相場とトレンド相場で、損切りの基準が変わることも想定すべき
まとめ:リスクは「怖がる」ものではなく「設計」するもの
FXにおいて、「リスクを取らなければリターンは得られない」というのは真理です。ただし、無謀なリスクではなく、自分で意図をもって設計したリスクだけが、長期的な安定収益につながります。
損失許容額は、感情を乱さずにトレードを継続するための“守りの数値”であり、それを軸にしてロットやエントリー戦略を組むことで、“攻めの一手”を打つことができるようになります。
日々のトレードのなかで、「何を許容し、どこに自分の限界を設定するか」を見直すことは、成長の証でもあります。恐れず、だが慎重に、自分のルールを育てていきましょう。
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