なぜ“三尊・逆三尊”が重要なのか?
三尊(ヘッドアンドショルダー)と逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)は、FXチャート分析における転換シグナルの代表格です。トレンドの転換点を視覚的に把握できるため、初心者でも理解しやすく、多くのトレーダーが注目しています。
ただし、このパターンが出現したからといって必ずしもトレンドが転換するわけではありません。重要なのは「どのような状況で形成されたのか」「ネックラインの反応はどうか」という文脈です。
この前編では、まず三尊・逆三尊の基本構造と、それがなぜ意識されるのかという“背景”を中心に解説します。後編では、実際のトレードへの落とし込み方や“だまし”への対応方法、信頼度を高めるチェックリストなどを取り上げます。
三尊・逆三尊の構造と見極め方
パターン構成の基本
三尊は、中央の山(頭)が最も高く、左右に同程度の高さの山(肩)がある形をしています。逆三尊はその逆で、谷が連なり中央が最も深い形です。
この形状が示す心理は次のとおりです:
- 三尊:上昇トレンド中に高値更新に失敗 → 売り圧力の強まり
- 逆三尊:下降トレンド中に安値更新に失敗 → 買い意欲の回復
ネックラインの重要性
三尊・逆三尊が完成したとみなされるのは、「ネックライン(左右の谷を結んだ線)」を明確にブレイクしたときです。価格がネックラインを割り込む(あるいは超える)ことで、トレンド転換のサインと見なされます。
ネックラインの角度や水平度も注目ポイントです。水平に近い方が「明確なライン」として意識されやすく、ブレイク時の価格変動も大きくなりがちです。
よくある“誤認”と注意点
フォルムだけに注目する落とし穴
見た目が三尊や逆三尊に似ているというだけでエントリーするのは危険です。特に注意したいのは:
- ボラティリティが低い局面でのパターン形成
- ネックラインに到達する前のフライング判断
- 時間足によって形状が大きく異なること
これらはすべて、“フェイク三尊”に惑わされる原因になります。あくまで全体のトレンドの流れやボリューム、直近の高値・安値との関係性を加味することが前提です。
実戦で活かす!三尊・逆三尊のトレード戦略
ブレイク後のエントリーポイント
三尊や逆三尊のパターンが完成したとされるのは、ネックラインを明確にブレイクした時です。この瞬間が、最も注目されるエントリーポイントとなります。ただし、飛び乗るのではなく「戻り(リテスト)を待つ」方が精度は高くなります。
戻りを待つ戦略は次のように組み立てます:
- ネックラインを明確に超える or 割る
- 一度価格が戻ってきて、ネックラインに触れる
- そこでローソク足が反転を示す(ピンバーなど)場合にエントリー
この“リテスト確認”によって、だましのリスクを減らすことができます。
ロスカットとターゲットの設計
三尊・逆三尊のパターンは、ある程度想定される値幅が読みやすいというメリットがあります。中央の山(あるいは谷)とネックラインとの距離を測り、それをネックラインから上下にプロットすることで、おおよそのターゲットを決めることができます。
一方、ロスカットは「リテストに失敗したら」「ブレイクが明確でなかったら」といった条件で設定すべきです。一般的にはブレイク前の高値(または安値)の少し外に置くのが基本です。
“だまし”を見抜くための3つの視点
1. 出現場所とトレンド文脈
三尊・逆三尊はトレンドの転換点で出現すると強力なサインとなります。しかし、レンジ相場の中で現れると、ただの価格の上下に過ぎないことも。「今はトレンドなのか?レンジなのか?」を見極める力が前提となります。
2. ボリュームの有無
信頼性の高いパターンでは、ネックラインをブレイクする際に出来高(ボリューム)が増加する傾向があります。海外FXではティックボリュームで代用されることも多いですが、ブレイク時に「勢いがあるか」を確認しましょう。
3. 他のシグナルとの重複
三尊・逆三尊だけに頼るのではなく、RSIのダイバージェンスや移動平均線のクロスなど、他のテクニカル要素も加味することで精度が上がります。複数のシグナルが一致するほど、期待値の高いトレードになります。
まとめ
三尊・逆三尊は、チャートパターンの中でも非常に強力で視認性の高いものです。しかし、パターンの形だけを信じて飛び乗るのは危険で、状況や文脈を見極めた上で、ネックラインのブレイク、リテストの確認、他の指標との併用などを意識したいところです。
正しく扱えば、トレンド転換を的確に捉える強力な武器になります。特に海外FXでは、スプレッドやボラティリティの観点からも、確度の高いタイミングを待つことの重要性が増します。今回の知識を使い、より実戦的なチャート判断力を身につけていきましょう。
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