EAを動かすためのVPS活用と運用の落とし穴

自動売買(EA)におけるVPSの必要性とは?

MT4/MT5でEAを安定して稼働させるためには、VPS(Virtual Private Server/仮想専用サーバー)の利用が推奨されます。これは「常時起動・常時接続された仮想のPC環境」をネット経由で使えるサービスで、自宅のPCを立ち上げっぱなしにする必要がないという大きな利点があります。

なぜVPSが必要なのか? 理由は主に以下のとおりです:

  • PCの電源を切ってもEAが稼働し続けられる
  • 停電やネット障害の影響を受けずに済む
  • 24時間連続稼働により、チャンスを逃さず取引できる
  • より高速なサーバ環境で約定精度が上がる可能性がある

とくにスキャルピング系やナンピン型のEAでは、数秒の遅延が収益に直結するため、安定・高速なVPS環境は重要な要素になります。

ただし、VPSを使うことで100%勝てるわけではありません。VPSはあくまでEAの「稼働環境」を最適化する手段であり、その性能や安定性がEAの戦略とマッチしてこそ効果が発揮されます。

VPSの選び方と比較ポイント

VPSにはさまざまな提供会社があり、プランや性能にも幅があります。以下のポイントを比較しながら、自分のEA戦略に合ったVPSを選ぶことが重要です。

1. ロケーション(サーバー設置場所)

ブローカーのサーバーと物理的に近いロケーションにあるVPSを選ぶことで、約定スピードが向上します。たとえば、ロンドンに拠点を持つブローカーなら、同じくロンドンにサーバーを置くVPSが望ましいです。

2. メモリ・CPU性能

MT4/MT5でEAを複数稼働させる場合、ある程度のリソースが必要になります。最低でも「1GB以上のRAM」「2コア以上のCPU」が目安ですが、同時稼働数によっては上位プランが必要です。

3. 稼働率・安定性(アップタイム)

「99.99%」といった高い稼働率をうたっているか、過去のトラブル報告がないかなど、実績と信頼性を確認しましょう。

4. 価格とコスパ

価格帯は月1,000円台~5,000円以上まで幅があります。長期的に使うことを前提に、信頼性とコストのバランスを見て検討しましょう。

5. OSの種類と使いやすさ

一般的に「Windows Server」版のVPSが主流で、MT4/MT5をインストールしてそのまま使用できます。UIがWindowsと似ており、初心者にも扱いやすいのが特長です。

以降では実際のVPS導入手順やMTとの接続方法、意外と見落とされがちな運用上の注意点や落とし穴を紹介し、「VPSを導入したのにうまくいかない…」というトラブルを未然に防ぐポイントを解説します。

VPS導入手順とMT4/MT5との接続方法

VPSの契約が完了したら、次はMT4/MT5をインストールしてEAを動かす環境を整えるステップに進みます。初心者でもつまずかないよう、ここでは基本的な流れを整理します。

  • リモートデスクトップ接続(RDP)を使ってVPSにアクセス
     Windowsなら標準アプリ「リモートデスクトップ接続」を使って、VPSのIPアドレスとログイン情報を入力します。
  • VPS上にブラウザを開き、MT4/MT5をダウンロード
     多くのVPSはWindows Serverベースなので、ChromeやEdgeを使ってブローカー公式サイトからプラットフォームをダウンロード可能です。
  • MT4/MT5をVPS内にインストールし、口座情報でログイン
     デスクトップに表示されるMTのアイコンをダブルクリックし、ログイン画面でブローカーから提供されたIDとパスワードを入力します。
  • EAファイル(.ex4など)を「Experts」フォルダに配置
     インストールしたMTのデータフォルダを開き、「MQL4」→「Experts」フォルダにEAファイルをコピーします。
  • ナビゲーターからEAをドラッグ&ドロップでチャートに適用
     正しく設定されていれば、チャート上部に「ニコニコマーク」が表示され、稼働中であることを示します。

これでEAはVPS上で常時稼働する状態になります。ただし、安心して放置する前に、以下のような注意点も確認しておきましょう。

VPS運用でありがちなトラブルとその対策

VPSを使えば安心…と思われがちですが、実際の運用では「こんなはずでは…」という事態も起こりえます。以下のような落とし穴に気をつけてください。

1. 自動更新や再起動でEAが停止してしまう

VPSのWindowsアップデートやメンテナンスで勝手に再起動され、EAが止まってしまうことがあります。これを防ぐには:

  • Windows Updateを手動に設定しておく
  • MT4/MT5を「スタートアップ」に登録し、再起動後も自動起動するよう設定
  • VPS事業者側のスケジュールを確認し、予防的にメンテを把握する

2. VPSのリソース不足でMTが固まる

とくに格安プランでは、CPUやメモリが不足しがちです。複数EAを走らせていると、突然動作が重くなり、チャートがフリーズすることも。対策としては:

  • 定期的にタスクマネージャーで使用率をチェック
  • 無理のない同時稼働数に抑える
  • VPSプランの見直し(上位プランへ変更)

3. ログイン忘れや通信切断に気づかない

EAが止まっているのに気づかず、数日後に確認したら大損…という話も。次のような対策が有効です:

  • VPSに通知機能付きの監視ソフトを導入(例:メール通知機能つきツール)
  • 日次で収支・ログを確認する習慣をつける
  • MT上のジャーナルやエキスパートタブで異常ログをチェック

まとめ

VPSは、MT4/MT5でEAを安定稼働させるために欠かせない存在です。しかし「導入すれば自動的に稼げる」というものではなく、適切な設定と継続的な運用・監視が必要です。

初心者のうちは、最小限のEAで稼働テストを行い、慣れてから本格導入するのが安心です。また、「自動化=放置OK」ではないという意識を持ち続けることが、長期的な安定運用につながります。

次回は、コードを書けなくてもEAを始めたい人に向けて、「自作EAの作り方」やノーコードツール活用の方法をわかりやすく解説していきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました